ホラー検証:その他

紹介全リスト

ゲームさよならを教えて〜comment te dire adieu〜

アニメ●内田春菊の呪いのワンピース
ゲーム●沙耶(さや)の唄
PV ●ホラーなボカロ曲
ゲーム●アパシー 鳴神学園都市伝説探偵局
ドラマ●ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD

雑誌 ●怖い噂
観光地●霊場 恐山
アニメ●地獄少女
サイト●狂気太郎
サイト●おもしろフラッシュ総合サイト

ゲーム●かまいたちの夜2
書籍 ●本当にある「怖い場所」案内
サイト●労災連
アニメ●呪いのワンピース
ゲーム●弟切草
  


さよならを教えて〜comment te dire adieu〜 ―― CRAFTWORK 
 (PC版(2001年発売)定価 8800円)/あそBD版(2011年発売)定価 4300円/DL版(DLsiteにて) 2700円)
 ※PC版、あそBD版ともプレミア化。価格は常に変動。

 企画・原作 CRAFTWORK、長岡建蔵
 構成・脚本 石埜三千穂(いしの みちほ:男性)、長岡建蔵

 ホラー度:★★★★(女子校の教習実習生である主人公が、複数の女生徒らと関わる中、日に日に狂っていく。理解不能な部分が多め。唐突な破壊衝動により、時に女生徒らを手にかける(エロやグロ)。だが翌日には何事もなく生き返っていたりする(エロは引きずる場合がある))
 面白さ :★★★★(中盤以降はひたすら狂っていくだけで、理解しがたい部分が多め。しかしラストは★5。しっかりとした「答え」に好印象)
 難易度 :★★☆☆☆(テキトーに選択肢を選んでいるだけでエンドまで到達できる。物語的な難易度は「理解しようとすれば」かなり高難易度。理解できない部分は、聞き流しても問題はない)

 (あらすじ: 女子校の教育実習生の主人公。主人公は天使が怪物に犯される夢を見続ける。その天使は、女生徒の巣鴨 睦月(すがも むつき)なのか。複数の女生徒らと関わっていく中、主人公はどんどん狂いを表面化させていき、時に彼女らを殺したり犯したりする(だが、翌日にはなかった事になっていたりする事も多々ある)。後半、主人公はとある使命を見出していく)

 (一言: 伝説の電波系ホラー(エロ)ゲーム。絵は最初から最後までずっと夕焼け色。(妄想的な)エロやグロもあり。突然の破壊衝動が怖い。明らかに現実ではない世界で、主人公はどんどん狂い続ける。その果てが見所。プレイ時間は3〜5時間程度。選択肢は複数あり)

 ※レビューは「あそBD版」のものとなります。
 ※ウィキペディアでのこのゲームの記事内に、重要なネタバレが記載されているため、ゲーム開始前に見ると面白さが激減します。(ウィキはこれが多いのでホント勘弁……)-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●いきさつ

 かなり昔から、このゲームのタイトルだけは知っていました。「狂気モノ」っぽいという事も。色々なエロゲーの本(歴史的なもの)に載っていたりもしましたし。
 でもプレミアがついていて、なかなか手を出せない。約20000円もするんですよね、アマゾンでは。(後日談: 2017/7/27に再度確認したら、低価格が40000円になっていて噴きました)

 で、2011年。「あそBD」として5000円程度で再販されました。PCがなくても、ブルーレイ機器で遊べるゲームですね。
 しかし。買うつもりでいたのに、買い逃してしまいました。あっという間にプレミア化してしまった記憶があります。(それでも8000円程度だったかな、と)

 で、2017年になって、あそBD版が5000円程度で売られていたのを見つけ、喜んで買いました。
 買った数日後。ダウンロード販売サイト「DLsite」にて、ダウンロード版がたった2700円で売っているのを発見。これにはガッカリしました(まだ未購入の方は喜んで下さい)。

 そんなこんなで、あそBD版ではありますが、やっと念願のものを入手できて、非常に嬉しいです。
 この先、どんな地獄が待っているのかは知りませんけどね。でもレビューしがいがあるのは間違いないでしょう。

 通称――「さよ教」。伝説の、ホラーゲームですからね(エロには期待していないという)。
 期待して、プレイしてみます。

●レビュー

 縦長のやや大きめの箱。タイトルには、「ファナティックアドベンチャーノベル さよならを教えて comment te dire adieu」とあります。※ファナティックとは狂気、狂心。
 箱の下側には、「言葉、男、狂気、少女、さよなら」。そして細かな文字で、あらすじが書かれてます。

 あぁ、やっとの事で入手できたんだな、と感慨深くなってみたり。
 なおアマゾンでの「あそBD版」のレビューでは、本家PC版より削られたCGがあるみたいなんですが……まぁそれはそれで。テキストはそのままでしょうからね。

 箱を開けると、イラストが描かれたプラスチック製の下敷きみたいなものが。使いようはわかりませんが、飾っておくシロモノですかね。
 で、ゲームディスクは、普通の映画用のBDケースの中に入ってます。ちょっとした冊子もついてますね。製作者の話が載ってます。
 BD表面には、呪いじみた言葉の渦(支配、居心地、脊髄、射精、不可能、彼岸……などなど)がうっすらと、ギッシリ書き込まれています。


序盤はこのシーンが何度も出てきて
しかもスキップできません。


主人公の相談役の大森となえ
カラッとした性格。


メインヒロインの巣鴨睦月
 ●天使が怪物に犯される夢を見続ける主人公

 PS3でゲーム開始。最初はPCでプレイしてみたんですが、セーブの仕方がわからなかったもので。S3なら、「□」ボタンでメニューが出ます。
 まずはプロローグ。主人公は悪夢を見ている。天使が怪物に犯される夢。ちょっとあってタイトル画面。女の裸。

 ゲーム開始。学校。保健医である大森となえとの会話。主人公はとなえに、悪夢を見ている事を話す。相談しているんですね。
 自分はこの学校の教育実習生。人に話しかけるのは苦手。しかし大森となえは向こうから話しかけてきてくれるので、性(しょう)に合う。
 声入りですね。となえの雰囲気、かなり合ってます。
 で、巣鴨 睦月(すがも むつき)という少女が保健室に来て、場を去る。

 学校の全体図が出て、移動場所の選択肢が出ます。教室と屋上と保健室。
 教室には巣鴨睦月がいて、屋上には小鳥のような少女が。画面スクロールで立ち絵が出たりします。2画面分に渡って描かれているんですね。
 保健室でまた、となえと共にタバコを吸い、会話をする。となえの立ち絵は表情がコロコロ変わりますね。

 それら3つの場を選択し終えると、帰宅。職員室へ行き、自分の教育係の高島瀬美奈に会い、日誌を見てもらう。
 ほんの少しだけ、会話で疑問を感じる部分があったりしますね。主人公「帰ります」。瀬美奈「帰るってどこへ?」(自宅に決まってるのに……)。何かしら、意味が含まれているんでしょうか?

 主人公、人見広介(ひとみ ひろすけ)は、また天使が怪物に犯される夢を見る。

 ●

 となえとの話を終え、選択画面に。図書館に行けるようになったので、行ってみます。
 図書委員の子とちょっと話をしたり。となえとの会話も続いていく。

 なお、メインヒロインであろう巣鴨睦月ですが、彼女はいつも教室にいる。そして彼女との会話は、かなりギクシャクしたものになっている。人見は巣鴨を恐れているんですね。巣鴨が、自分の見る悪夢の中の「天使」なのではないか、と思って。そしたら必然的に、天使を犯す怪物が自分なのではないか……?と。
 キャラとの会話中に、単色の顔絵がカットインとして流れてくる時がありますね。表情の変化。立ち絵の表情はあまり変わらないみたいですね。

 物語的に、話も早めかな、という感じです。
 話を壊すまで、もったいぶって長々と日常をプレイさせる、という感じではないです。ハナから何かが壊れかけている(悪夢を非常に気にして、巣鴨を恐れる(巣鴨自身への恐れ。そして巣鴨と関わっていく中で、自分が怪物になるのではないかとする恐れ))。好印象です。

 なお背景画についてですが、3DCGっぽいですね。実写と見まがう程の美しいものがあったり、いかにもな3DCGに見えたり。どれも暗めのCGなので、安っぽくは見えませんけどね。

 ●「おにーちゃん」

 中庭に行ってみると、新たな少女が。
「おにーちゃん」
 そう呼ばれる。あぁ突然のエロゲ展開。田町まひる。この子とは、幼い頃の知り合いだったんですね。場がこの子のおかげで明るくなります。
 で、ちょっとしたやりとりがあった後、ふいにモロパン見せ。あぁそういえば、これは一応エロゲーだったかな、と思い起こしてみたり。

 弓道場でまた別の子がいたり。結構、キャラ多いですね。(個人的には、図書館の子と弓道場の子は、いらないかなと。キャラが多すぎると、話がアッチコッチ行ってしまうので→でもキャラが多いと、ゲームをプレイし直す時には新鮮にプレイできますね) 
 それにしても、キャラ同士があまりからみませんね。ほとんどが、1対1での会話のみ。


屋上でたそがれている少女、望美
 ●少女らの何気ない言葉を反芻(はんすう)し続ける主人公

 ゲーム内での日々は、学校の放課後から始まる。
 女達との会話を気にし、言われた言葉を反芻するクセのある人見。(でも重要な言葉を反芻しているとは思えない事がほとんど)
 何度か女達から言われる、何気ない「さよなら」。
 夕焼け色に染まり続けるゲーム画面。狂気を水面下にたずさえている主人公。日々、ゆがんでいくチャイムの音。

 かなり雰囲気ありますね。独特すぎて、他のエロゲーとは一線を画してます。まぁ「ハナからホラーに期待してプレイするエロゲー」というのもめずらしいんですが。
 世界観もプレイ感覚も、かなり独特です。主人公は教師として、人間として正常でありたいと願いながらも、自分の妄想の渦に飲まれてしまい、どうしようもなく狂っていく……。
 ですがうるさい狂気ではなく、静かな雰囲気を維持したまま、ゲームは進んでいきます。主人公の言葉使いが汚くないから、うるさく感じないんでしょうか。そうとうゴチャゴチャと考え続けてはいるんですけどね。

 場所移動の選択肢の他、ヒロイン達との会話の中でも選択肢が出てきますね。ここで分岐するのかどうかは不明。
 BGMもいい感じです。

 そんな事の繰り返しの中、ふいに唐突なエロがいくつか出てきました。「犯す」という感じのエロが多いですね。エロシーンのセリフや文章などは(他のエロゲーと比べると)かなり短めです。
 屋上の望美の死を見たハズなのに、翌日には平気な顔をしてそこにいたり。殺したシーンはただの妄想だったのか。

 選択肢。教室(巣鴨)、屋上(望美)、中庭(まひる)、保健室(となえ)、図書館(御幸)、弓道場(こより)。その場所に彼女らがいる。全部を選べないまま、「帰る」になっちゃったりしますね。
 帰る時にはいつも職員室へ行き、高島瀬美奈に日誌を見せる必要がある。彼女は冷たい感じの女性。

 ところでこのゲーム、エンドがいくつかあったりするんですかね。まぁその辺は詳しく調べないまま、進めていきますけど。


唐突に湧き上がる破壊衝動を抑え
きれなくなり、少女を手にかける。
選択肢がカオスになる場面も。


エロゲーなのでエロも結構あります。
 ●登場人物紹介後、すぐにエロが押し寄せて来る

 エロが続きます。行く場所ごとに起こる感じ。
 でも恋愛の果てにあるエロではなく、キャラの紹介がある程度済んだらもういきなりエロ、という感じ。なお、異様さが目立ちます。絵的にも、普通のエロ目的のためのエロではなく、「物語の異質さを際立たせるためのエロ」という感じです。言葉にすれば、「淫靡(いんび)」。いやらしさと暗さが混ぜこぜになってます。

 あと、物語の形式も見えてきました。
 学校で、まずはとなえと話し、そして教室やら屋上やらに移動して、最後は職員室で話して、帰る。その繰り返し。
 8日目まで来て、エロが数回。望美を殺した妄想が1回。

 ギャグもなく、真面目に話は進んでいきます。
 主人公はとにかく「恐れて」いる。色んなものに。精神的におかしくなっているんですね。原因があるのかどうかはまだわかりませんが。

 悪夢に悩み、時に女生徒らへの激しい破壊衝動や欲望を実行に移し、しかしそれらは受け入れられたり、なかった事になったりして許され続け、危うい均衡で日々は続いていきます。
 全体的に夢か妄想みたいな世界なので、どこかに現実があるのかどうかすら、わかりません。

 ●物語は流れているのか?

 何というか、「ストーリーが(文として)追えない」感じですね。色々と狂っていて、次に何が起こるのかわからない。流れや展開がある、とも言いがたい。
 面白いかと聞かれたら、面白いとは言えない感じになってきました。狂った話をただ目で追っている、というだけですからね。

 出て来るキャラがこの学校の七不思議なのかな、と思ったりもしましたが……(後日談: 別にそうではなかったです)。
 もう何が何だかサッパリわかりません、この話。

 たまに衝撃的なエロが入ったかと思えば、次回会った時には、少女らは平然な顔をしていて、「そんな(エロい)事はなかった」事になっていたりする。(後日談: 引きずる子もいます)
 狂った話を書くのはいいんですが、もっと理解できる形で書いて欲しかったし、狂ったイベントをただ垂れ流しているだけのようにしか見えないので、何らかの整合性か、話の大スジが欲しかったところ。
 ただメチャクチャなストーリーを追っていくだけ、のような感じにしか見えないので。(後日談: そんな心配は要りませんでした)

 この物語にちゃんとした「答え」があるのか? 「おぉ、実はそうだったのか!」と感心させて欲しいです。そう願っています。

 終盤、ヒロインらの言葉の中に「空白」が目立ってきます。文字が突然、歯抜けになっているんですね。これはなかなか面白い仕掛けです。何度かプレイしていく内に、空白の言葉がわかってきたりするんでしょうか。

 ●たまにフリーズ

 ところで、PS3でプレイしてますけど、ゲーム終了時にたまーにフリーズしますね。
 フリーズしちゃったら、電源をブツッと切る他はなさそう。そうすると次回立ち上げ時にPCで言う「セーフモード」っぽい立ち上がりになりますね。
 ゲーム終了時、なるべく焦らず、ゆっくり終了するように心がけますか……。


後半になるとヒロインらはみんな、
脈絡もなく裸になっていたりする。
 ●クリアー

 特に難しい事もなく、選択肢をテキトーに選んでいるだけでエンドを迎えました。
 通算、3〜5時間くらいでしょうか。さほど長くはなかったですね。

 中盤以降は、ただひたすら狂った文を見せつけられ、そして迎えたエンド。
 なるほどな、と。あの1シーンはなかなかに衝撃的でした。

 なおも話は続くんですが、蛇足ぎみではないですね。最後の最後まで、しっかりとホラー的に楽しいです。

 ●

 普通のエロゲーのように、ちゃんとCGモードもありますね。「あそBD版」でも、見た絵だけを見る事ができるようになっています。(他の「DVD playergame」だと、最初から全CGが見れたりと、つまらない作りのものがあったりします)
 主人公のサポート役として、ずいぶんと世話になった大森となえ。でもCGモードを見ると、CGがほんの5枚しかないんですね。これは驚きでした。しかも立ち絵を含めてですからね。

 このゲーム。狂った文を垂れ流すだけじゃなく、「しっかりとした答え」を出してくれているのが、非常に好印象でした。
 エンド数はわかりませんが、一番いいエンドを見た気がします。
 なお他の子のCGはまだ全然埋まっていないので、まだまだこの作品には見所が残されている模様。

 「一つの大きな流れ」により完結。そういう感じの物語でした。
 ワケわからない部分は、ワケがわからないまま聞き流しても良さそうですね。それでもラストは充分理解できます。

●総評

 あそBD版では、(オリジナル版から)削除されたCGがあるようで残念ですが、気になったらDLサイトにて、DL版を買ってみてもいいですね。(そこまでしてグロいCGを見たいとも思いませんけど)
 でも自分としてはもう充分です。特に不満はないです。あのエンドに納得がいきましたので。

 欲を言えば、彼女らのネタバレ: 正体について、ほんの一言で済ませてしまうのではなく、絵で見せて欲しかったかな、と。(後日談: エンドロールでチラッと見えていたりしましたね。ネタバレ: カラス

 ●グロCGについて

 グロCGは、度が過ぎると悪趣味になってしまいますが、このゲームではそんな感じでもなかったですね。「異様さ」と「インパクト」をしっかりと与えてくれました。
 逆に怖いハズの部分にグロ絵がないと、パッと見のインパクトに欠けると思うんですね。だからキービジュアル(ゲームの顔となる、CM用のCG)を作るためにも、グロ絵はホラーゲームには必要かな、と。

 ●スタッフロールに意外なお名前が…

 エンド曲を歌っているのは、「I’ve(アイブ)」MELL。 I’ve sound(アイブサウンド)。知っている人も多いと思いますが、美少女ゲームの曲を多く手がけているチームなんですね。
 僕は昔、I’veのCDを買いまして(アルバムが何枚かあります)、この「さよならを教えて」の曲は、かなり以前に聴いていました。いい曲です。
 ですが「あそBD版」の冊子には、衝撃のお話が。隠し: 「こんなクソ歌作らせてI’veを無駄使いするのはあきまへんわ」と怒られて(長岡氏が)泣いたとのお話

 で。スタッフロールに、猟奇エロ漫画家(失礼)の「氏賀Y太(うじがわいた)さん」と、「さっぽろももこさん」の名前が。
 氏賀Y太さんは、絵に関わったんでしょうか。でも原画担当ではないと思いますが……。絵柄が違いますからね。
 さっぽろももこさんは、なつかしい名前です。Windows以前のPC(PC−9801やらMSXやら)のエロゲーで、絵を描かれていたんですよ。インパクトのあるお名前だったので覚えていました。でも近年は作曲もされていたんですねぇ……。(別に知り合いではないですが)
 BGM、素晴らしかったです。ゲームによく合ってました。


まだまだ見所が残されている模様
●再度プレイ

 前回は選ばなかった選択肢をなるべく選んでプレイ。
 脈絡のないエロが多い、という印象はなくなりました。屋上での望美とのエロは、ちゃんと流れに沿ってますね。
 そして今度は、なかなかグロ絵にお目にかかれなかったり。変化があって、プレイする度に結構楽しめますね。

 他のエロゲー同様、狙ったヒロインに集中して会いに行ける選択肢がある事ですし、今度は巣鴨以外の子を攻めてみます。
 もしかして、巣鴨以外のエンドもあるのでしょうか? そこに注目していきます。

 ……ありました。望美のエンド。ヒロイン個々のエンドが用意されている感じですかね。やってくれます。
 巣鴨の時と大きな流れは同じなんですが、ちゃんとヒロイン個々に沿った終わりを見せてくれました。
 まだまだ底が知れないゲームですね。

 個人的には巣鴨のエンドで納得がいったので、他の子のエンドには特に惹(ひ)かれないんですけど、いつか見てみたくなったら見てみるのもいいですね。

 ●気に入った話

 声優さんの名前が、エンドロールで表記されていません(ウィキには記載されてます)。ですが、それにはちゃんとした理由があったんですね。
 あそBD版の冊子に、こう書かれています。

 「睦月の声は睦月が出してるに決まってんだろ!」と。

 ……なるほどです。
 長岡氏は続けて謝ってますけどね。(声優の名前をエンドロールであげなかったのは)仕事をする人としてはよくないと反省しています。ごめんなさい。と。
 でも個人的には、そういったこだわりの姿勢は好きですね。


内田春菊の呪いのワンピース ―― シンエイ動画
 (1990年頃TV放映/2016年現在DVDビデオ化なし(YouTubeでのみ視聴可能))

 ホラー度:★★★★(恐怖をストレートに描いていて、過剰(かじょう)ぎみの演出もいい)
 面白さ :★★★★(3話とも呪いのワンピースをもらう事によって悲劇になるのだが、3話とも全く違う恐怖が描かれている。絵も簡素ながら見やすい)

 原作(マンガ) 内田 春菊(しゅんぎく)
 監督 木上 益治
 脚本 丸尾 みほ
 制作 シンエイ動画

 ※上記情報は「マンガペディア」にて。

 (一言: 昔のTV番組内でのショートホラーアニメ。3話完結。3話とも7〜8分程度。過去にDVDやビデオ化された事はないようで、2016年現在ではYouTubeで観れるのみ。ただし、画像は粗い)

●いきさつ

 昔「ギミア・ぶれいく」というTV番組がありました。大橋巨泉さんが司会者の番組。内容は全く覚えていないのですが。
 その中で、アニメ「笑ゥせぇるすまん」が放映されたりもしましたが、そんな中、この「呪いのワンピース」も3話だけ、放映されたんですね。
 自分はリアルタイムでそれを観て、当時かなりの衝撃を受けました。(まぁ幼少の頃だったので、まともにビビッてしまったんでしょう)
 それから何年かして(…いやいや十何年、二十何年とずーっと)ふとそのアニメを観たいなーと思っても、DVD化などにはなっておらず、結局は今現在に至るまで、観る事は叶いませんでした。

 そして近年。世はウインドウズ世代になり、ネットで様々なものが観られるようになりました。特にYouTubeでは、今ではもう観られない過去の番組などを流してくれている事も多々あります。
 そんな中。「呪いのワンピース」3話を見つけたので、観てみました。(以前にも検索したんですが、タイトルがちょっとわかりにくかったので、目に止まらなかったんですね)

 なつかしさいっぱいで観ましたが、変わらぬ恐怖を堪能(たんのう)する事ができました。
 3話のラスト(怯える描写)が一番のトラウマになっていたんですが、ちょっと記憶と描写が違っていたりで、自分の記憶というのもアテにならないな、と思ったりしました。

 YouTubeでの、この動画。画像はかなり粗いんですが、なかなかに怖がれます。


3話の中では一番救いのある終わり
方なんですが、世間体(せけんてい)
は…。
 ●1話 祐子  [ 視聴 ]

 友人のマユミは、父親の仕事の関係でいつもいい服を買ってもらっていた。それをうらやましがる友人達。祐子もそんな中の一人だった。
 今度マユミの家で誕生会をやる事になり、祐子の片思いの相手である、土肥(どい)くんも呼ぶとの事だった。
 しかし、祐子はゆううつだった。誕生会に着ていける、いい服がない。

 そんな時、祐子の家にワンピースが届く。しかし差出人の名前がない。
 祐子はそのワンピースを気に入り、マユミの誕生会に着ていきたいと母親に言うが、母親はそれを許さない。差出人がわかるまでは、そんな勝手な事はできない。

 祐子は一旦はあきらめるが、誕生会に行く寸前になって、着ていく服をネコに裂かれてしまう。
 そして祐子は、届けもののワンピースを着て、誕生会に行く。しかし、祐子は何かにとりつかれたようになっていた。

 >
 実に女の子らしい話。女性が「キレイになりたい」(+オシャレでいい服を着たい)というのはもう、永遠のテーマなんでしょうね。
 脅かしの演出がいいですね。ピヨ〜ンという効果音はどうかと思うんですが。こういう過剰気味の脅かしのシーンがあるかないかで、だいぶ印象が違ってくる気がします。

 なお、「土井」くんかと思ったら「土肥」ですね(アニメ内、ユニフォームにて)。


自分でも気づかない内にワンピース
を着てしまっている。
 ●2話 香穂理(かおり)  [ 視聴 ]

 母親の弟であるタカユキ兄さんに恋する香穂理。
 その彼から黄色いワンピースをもらって喜ぶ。

 しかし。ワンピースを脱いだハズなのに、またいつの間にか着てしまっている。そんな事が何度も続き、やがて……。

 >
 ひねりのある呪いだと思います。なかなかこういうのは思いつかないかな、と。
 画的にはおとなしいまま(ワンピースが派手に悪さをするワケではない)なんですが、なかなかに怖がれます。

 ちなみに、香穂理が寝起きでやや汗をかいている描写があるんですが、きっと悪夢を見ているんだろうなぁ、と。わざわざそういうの(悪夢の内容)を見せなくても何となくわかる、という描写は、ツウ好みかな、と。


好きだった人からのまさかの贈り物
に驚く美智代。
 ●3話 美智代  [ 視聴 ]

 好きな人が転校してしまった。
 富樫くん。思い出もなく、ロクに話すらできなかった。美智代は、自分がもっと女の子らしかったら富樫くんと仲良くなれていたかもしれない、などと思ってみたりする。なお妹には、富樫くんが好きだったという事は知られている。
 そして恋わずらいか。美智代は熱を出して寝込んでしまう。

 そんなある日。美智代に届けものが届いた。それはまさかの、富樫からの贈り物だった。
 ――ワンピース。それを着て、会って欲しいという。
 引っ越した先の田舎のおばあちゃんの容態が悪く、死ぬ前にどうしてもお嫁さんを見たいという。そして届けられたワンピースは、おばあちゃんが大事にしているものらしかった。それを着て、会ってほしい。そんな誘いだった。

 美智代は喜んで、そのワンピースを着て富樫の元へと出かける。しかし……

 >
 ナマイキな妹とのかけあいが楽しいですね。
 なお、怖がらせようという演出もいいです(ワンピースが届いた瞬間、仰々しく不穏な空気になったり)。

 そして最後の最後でくる恐怖演出。ネタバレ: 妹が真相を知らされ、髪を逆立てて怖がるんですが、そういう「過剰気味の演出」があってこそ、作品は生きるものなんだな、と思いました。
 もしここが、沈んだ感じでおとなしい反応だったとしたら、作品そのものも盛り上がらないままだった気がします。
 つまり、ホラーを描くのなら、「絶対ここで怖がらせてやる!」といった気合い(過剰演出)が必要なのかな、と思ったりしました。

 この話。美智代が幸せそうなのだけが救いです。ネタバレ: そのまま幸せになれたかどうかは定かではないのですが

●総評

 恐怖画で怖がらせる1話目。見た目がかなりおとなしい2話目。最後の最後で衝撃をもってきた3話目。
 趣向が凝らしてあって、どれも楽しく観れました。怖がらせ方が一辺倒(いっぺんとう)ではないのがいいですね。

 怖さに関しても、満足できました。人を残酷に殺したりするだけがホラーアニメではない、という事を改めて感じさせられました。こういった、雰囲気で怖がらせるようなホラーアニメとか、もっと見てみたいですね。

 YouTubeでしか観られない、まさにカルトなホラーアニメ。こういったものは著作権うんぬんで縛るのではなく、残しておいてもらいたいものです。だって、そこでの登録を切られたら、もうどこでも観る事ができなくなるんですから。
 せめてDVD化になっていないものは、そういう登録を許しておいてもらいたいものです。


沙耶(さや)の唄 ―― Nitro+(ニトロプラス)
 (2003年PC(18禁)版発売/定価4800円(廉価版2800円)/あそBD、Android版もアリ)

 シナリオ 虚淵 玄(うろぶち げん)(代表作 ※1)
 キャラデザイン 中央東口

 ※1 アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」シリーズ構成・脚本、アニメ「PSYCHO-PASS」ストーリー原案・脚本、PCゲーム『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』シナリオ

 ホラー度:★★★★グロテスクな世界。グロテスクなものとの交わり。美しく見えるものが実はグロテスクなものだという、交錯(こうさく)した世界)
 面白さ :★★★★(物語そのものは奇怪で独創的で面白いんですが、どのキャラにも感情移入できず、場を眺めている事しかできないので「熱」が入りにくい。ただ、話の完成度は高いし、特にラストが素晴らし

 (あらすじ: 事故後の治療で脳障害を負い、他人がグロテスクな化け物に見えるようになってしまった主人公。他人ばかりか、世界そのものも内臓をぶちまけたようにしか見えない。そんなおぞましい世界の中、たった一人の少女だけが、美しく見えていた)

 (一言: ノベル形式の市販PCゲーム(成人用→エロ目的では物足りない)。選択肢は2箇所のみ。フルボイス。始まりから終わりまでずっと狂気の世界。場を盛り上げるイカレたBGM。物語の視点がコロコロ変わる(登場人物全てが各々主観となる)のは何だか落ち着かない。なお主人公に共感しにくい--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

●いきさつ

 確かかなり昔に、ウチの掲示板で紹介を受けたような気がしたんですが……さかのぼって調べてみても見つからなかったので、あきらめました。とにかく「沙耶の唄」はずっと昔に入手してました。
 で。近年、「魔法少女まどか☆マギカ」の大ヒットで一躍その名を馳せた「虚淵玄」さんが、このゲームのシナリオを描いてます。それを知って、このゲームのプレイ意欲が湧きました。名作のホラーゲームだという話は、ネットでちらほら目にしていましたので。
 このゲーム。13年も前に発売されたゲームだったんですね。

●プレイ&レビュー


実はこれ、普通の人間。
主人公の郁紀にはこう見えてしま
う。
変な声でしゃべります…。
 まず最初に、「グロテスクな画像を抑えるかどうか」を選択できます。もちろん、自分は抑えませんけどね。

 そして出てくるのが、昆虫の目玉みたいな化け物の顔のアップ。そしてワケのわからないセリフ。文字がバグってます。
 BGMはエレキギター。オシャレっぽいがどこかイカレた旋律(せんりつ)。
 背景は、赤々とした内臓みたいな所。しかしテーブルやイスが見えます。ここはどこなのか。言葉を発している化け物は何なのか。

 マウス右クリックでメニュー。フルスクリーンに切り替えます。メニューには何の飾り気もないですね。

 さて。化け物然としたものは、どうやら主人公の友人であるらしい。大学での同じサークルの仲間だという。
 じゃあどうして化け物に見えているのか?

 主人公の郁紀(ふみのり)がその場を立ち去ると、場はまともなものになる。
 さっき化け物に見えていたものは、普通の若い男女。郁紀の友人達だったんですね。郁紀は3ヶ月前、交通事故で両親を失った。そして郁紀自身も生死の境をさまよったが、助かった。
 しかしその事故の後遺症で、郁紀は友人達が化け物に見えてしまっているらしい。(後日談:後遺症というより、最先端の脳治療を受けたのが原因)

 それを郁紀は明かさないが、友人達も郁紀の態度がおかしい事に気づいていて、手を焼いている。


郁紀(ふみのり)と沙耶(さや)。
こういう仲なんですね…。

沙耶のおっぱいは小さいです…。
 ●ロリコンにしか見えず、共感できない主人公

 郁紀は手術後も病院で定期的に検診を受けている。主治医である丹保 凉子(たんぼ りょうこ)にも、他人が化け物に見えている事を話してはいない。
 郁紀は奥涯 雅彦(おうがい まさひこ)という医者の行方を知りたがっている。彼はこの病院を辞めた後、行方が知れない。

 町に出る。そこは血と肉塊の海。どうしてか、3DCGで描かれたように見えます。2D(普通)で描くより、そうとう手間がかかると思うんですけどね。

 家に帰ると、沙耶(さや)がいます。同棲しているとの事。
 でも沙耶は子供みたいですね。沙耶は、郁紀が事故後、唯一まともな姿に見える人間であるらしい。

 沙耶には、自分の奇妙な視覚について、話をしているらしい。
 なお沙耶は郁紀と一緒に食事をしない。食事を済ませた、というのも何だかウソっぽい。その辺にも何か秘密がありそう。
 絵的な話になりますが、表情によっては、沙耶のおでこがひどく広い……。

 あらら。おフロで背中流してもらうほどの仲なんですか……。つーか、それ終わったら、やっちゃってますけど……。郁紀のロリコン野郎ぉおおおッ! つーか沙耶の胸、つるペタっすね……。まじロリコン……。
 しかも郁紀、沙耶に夢中です。うっわ……。(共感できません)

 化け物めいた世界の中でただ一人まともな姿の少女、沙耶。その本当の姿は、どんなものなのか?
 何となく想像はできますけど(ネタバレとしてではなく、冒頭のCGなどから推測するに、郁紀の視覚が逆転しているとすれば)……果たして。


グチャグチャの内臓みたいなものは
実は街。
 ●視点がころころ変わる

 主人公視点が変わったりしますね。
 混乱を招くので、小説では禁じ手に近いものだとは思うんですけどね。そうでもないんですかね。

 人物の立ち絵。ラフスケッチに色を塗った、という感じですね。美少女ゲームではあまり見られないラフさです。それこそ美少女ゲームなら、服のシワから髪の毛の先に至るまで、事細かに完っ璧にドット整理されたりしてますからね……。
 でもこういうラフ画も、気を抜いて眺められるのでいいですね。描くのも楽そう。
 背景は実写加工っぽいものがちらほら見受けられますね。

 で、郁紀。友人の女の子、(よう)の告白を手ひどく断っちゃいました。意地悪い言葉がぽんぽん出てきます。これはひどい。
 でもまぁ、相手が化け物に見えるんじゃあ……どうしようもないですね。

 話は前後し、ここで沙耶との出会いが語られます。

 ――あなた、私を怖がらないの?
 もうこのセリフで、沙耶の本当の姿がどんなものであるのか、想像がつきます。
 郁紀が奥涯医師(沙耶の父親らしい)を探しあてた時、真相を知らされるんでしょう。

 ここで、郁紀が自らの視覚障害(知覚障害)を誰にも言わない理由が語られます。


沙耶が食っているものは…。
 ●友人視点による郁紀の家

 郁紀の家に、友人の女の子がやってきます。青海(おうみ)。彼女は、郁紀が瑶の告白を手ひどく断った事に腹を立てているんですね。そして事故後の郁紀に、多大な不信感を持っている、と。
 で、青海の視点で郁紀の家の中が語られるワケですが、普通の人間が見たら、郁紀の家の中がどんなに奇怪なのかがわかります。

 そして沙耶の本当の姿もチラッと出てきます。意外と早くきましたね。ラストに持って来るんじゃないかと思っていたんですが。
 この辺はなかなかいい具合にホラーしています。
 そして郁紀の帰宅。沙耶に襲われた青海はどうなっているのか……?

 で。青海は……ひぃいいいッ! しかも郁紀までもがッ!
 これは怖い。郁紀の冷静な声も怖い……。

 友人らに心配され続ける郁紀。郁紀は奥涯医師の家を突き止め、中を調べたりする。しかし肝心の奥涯医師はいない模様。
 一方、沙耶は病院のカルテを持ち出してきて、調べものをする。

 郁紀は、あまり親しくなかった家の隣人から、急に声をかけられる。その真意は、郁紀の家からただよう悪臭への不満だった。
 そして沙耶の実験。彼女は人間の脳をいじり、郁紀と同じ状態にする事に成功した。しかし……。
 この辺のホラーシーン、そんなにエグいCGはないですね。冒頭でグロを抑えるかどうかの選択までさせていたので、もっとエグいCGがバンバンあっても良かったんじゃないかと思うんですけどね。

 そんな悪夢の中。沙耶は、郁紀の病気を治す事ができると告げる。
 そこで選択肢。元の自分を「取り戻したい」か「もういらない」か。

 「取り戻す」を選択。
 すると郁紀の悪夢は覚める。そしてエンド。

 

 「もういらない」を選択。
 奥涯医師の、別の居場所を突き止める郁紀。そこは栃木の別荘。友人だった耕司に頼み、車を出させる。自分は視覚障害で車が運転できないし、耕司にも、自分を取り巻く真相を知ってもらうために、互いにいいと判断。

 一方、沙耶にも動きが。郁紀の友人の瑶(よう)に、青海のケータイからメールを出し、郁紀の家に呼び出したのだ。
 青海は行方不明のままだ。瑶はそのメールに不信感をつのらせる。しかも一人で来い、との誘いだ。
 瑶は勇気を振り絞り、その誘いに乗って、郁紀の家へ。その後どうなるのかは……まぁだいたい想像がつきますけどね。

 沙耶は他の人間達の脳をいじり、郁紀と同じ状態にしていくつもりなんでしょうね。それが、このゲームのパッケージの裏に書かれている「世界を侵す恋」という事なんでしょう。

 ●難漢字が多数出てくる

 文章は、読みやすい部分と読みにくい部分が混在してますね。言い回しも、ずいぶんと難しいものが多いです。
 そして難漢字。
 呻吟(しんぎん)、嫣然(えんぜん)、端緒(たんしょ)、益体(やくたい)……。こういったものが、多数使われています。しかも、そういった難しい文字の半分くらいに、ルビがないという。これはいけません。
 読めないばかりか、いちいち調べなきゃ意味がわからないような難漢字が多数使われてますからね……。

 基本的に僕は「誰が読んでもわかる文章が好ましい」と思ってますので、ちょっとこの辺は受け入れがたいんですけどね。

 ●後半でも主人公視点にならない不思議

 奥涯医師の別荘へと向かう、郁紀と耕司。そろそろ物語の終盤かな、という感じですね。
 で。郁紀と耕司が行動を共にするんですが、何故か主観は耕司。その視点で郁紀を見つめてる、という感じの文になってますね。これは変ですよ、やっぱり。
 もちろん郁紀視点ではまともな事にならないでしょうから(イカレた世界を見ている)、こうせざるを得ないんでしょうけど……。じゃあ誰が主人公なのか、と。

 ●

 別荘であれこれあった後、郁紀が帰宅。
 沙耶の実験は成功していた。

 で、やっぱり郁紀は気色悪いですねぇ……。瑶の成れの果てを前にして、沙耶に弁明するところとか。
 なお、この辺でやっとエロゲーらしくなってきましたけどね。

 一方、ネタバレ: 郁紀のワナに落ちた耕司に、助けが入る。あの丹保凉子医師が、カッコイイ感じで登場。
 そこで「一緒に行きます。連れてってくさだい」なんてな誤字に遭遇。(さらには後日、別のところで「試料」なんてなエラい誤字を発見したかと思ったら(普通は「資料」)、そういう漢字、本当にあるんですね……

 それはともかく、物語の深みを作るのが、プロはやはり上手いですね。
 シロウトには書けない未知の領域まで、物語を発展させる力がある。(僕が書いたら、瑶の変貌後、周囲をどんどん同じようにしていくという流れでエンドにしそう)
 丹保凉子医師がいきなりカッコ良すぎて引いちゃう部分もありますが……物語はより深みへと進展していきますね。

 ●ラスト

 血の通った想い出。
 空気の粒子のひとつひとつが沈黙のうちに彼を威嚇(いかく)し、首筋に牙を立てる。……そんな文学的な言い回しも冴えてますね。

 あらー。後半の盛り上がるところで選択肢ですか。いくつかのエンドが用意されているんでしょうか。
 まずは上を選択。

 郁紀との対決。耕司視点なので、郁紀が悪者みたいになってますけどね(実際に悪者になってますけど)。
 そして迎えるエンド。なかなかに素晴らしいエンドでした。
 「外宇宙」「銀の鍵」などという単語が出てくるので、この物語はおそらく軽いネタバレ: クトゥルフ神話を描いたものだったんでしょうね。その神話体系の一篇を、虚淵さんはゲームシナリオとして描いた、と。
 結局「沙耶」とは何だったのか。そしてタイトルである「沙耶の唄」がどんなものであったのか。このエンドで知る事になります。

 ……やっぱりプロが描くものは、ケタ外れに素晴らしいですね。沙耶の最後の一言も、胸に刺さります。
 さすがはあの「魔法少女まどか☆マギカ」を描いた虚淵 玄さんだな、と。文句なく、納得です。

 今さらながら、よくぞこんな設定を思いついたものだなぁ、と感心してしまいます(エラそうですみませんが)……事故の後、他人や世界が化け物に見える。そんな中、たった一人の少女だけが、美しく見えていた。……なかなかに胸が躍る設定でした。

 ただ、プレイ時間は短めでしたね。2〜3時間で読み終えられますからね。一本の映画として見れば、そこそこ適度な長さかな、という感じもしますけど。
 エロゲーとしては、かなり物足りないデキですね。「エロ目的ならやめた方がいい」というくらい、エロCGは少ない。おまけ、程度です。
 そもそも、メインヒロインである沙耶の裸が、そんなに魅力的……ではないので。思いっきり、ロリですし。

 ●別の結末

 一方、ラストの選択肢で別のものを選択してみます。最初のエンドで充分に満足したので、蛇足めいた気もするんですけどね。

 ほぼ流れはさっきのものと同じで、そこに丹保がからむ内容になってますね。
 丹保凉子、魅せてくれました。でもまぁ、先ほどのエンドの方が視覚的に美しいんですけどね。そっちのあきらめぎみの丹保凉子にも、味があります(残念ながら、彼女のCGはないんですけど)

●総評


耕治が襲われているものは、元、
人間…。
 いきなり狂気の世界から始まりますから、ダレずに引き込まれるというのはいいですね。(日常を長々と説明しておいて、事件が起こるという形ではない)

 主人公にはなかなか感情移入できませんでしたが、別にする必要もなければ問題はないですね。
 ヒロインの沙耶がロリすぎたので、郁紀との交わりがどうにも素直には受け入れがたかったんですけどね。(大学生なのに、こんな幼児体型の子とやっちゃうのか、と)→でもそうしないと(プラトニックな関係のままだったら)、ラストが輝かないのかな、と。

 ホラー的には、グロテスクなCGが多数あったので良かったですね。とは言え、もっとグロくても良かったかな、と。気持ち悪い死体のCGとか、ほとんどないですからね。
 そればかりではなく、沙耶の正体を想像して気持ち悪くなる、という怖がり方もできますね。

 とにかく、ラストが素晴らしかったから、この物語そのものも素晴らしくなった、という感じ。
 キャラ的に好きになれたのは、丹保凉子ぐらいなものです。他の主役4人に関しては、もう全くといっていいほど、好きになる要素すらなく……。→そういう点で見ても、変わった物語だったな、と。

 ●主観の変化と主人公の魅力のなさについて

 最初は主人公視点で物語が進んでいきますが、途中から視点(主観)がコロコロと切り替わるんですね。「瑶」視点になったり、「耕司」視点になったり、「凉子」視点になったり。
 だからなのか、物語を読み進めていっても、物語の登場人物になりきる事ができない。自分が物語の中に入り込むのではなく、「物語を眺める事しかできない」んですね。主観が変わるから。

 元々、主人公の郁紀には全く共感ができませんし、彼を好きになる要素もほとんどない。こんなに魅力を感じない主人公もめずらしいかな、と。
 ただこれに関しては、作者さんが「狙って」そう書いているんだと思いますから、別にマイナス要素というワケではないんですけどね。でも主人公としては、なかなか受け入れられないキャラではありました。

 もちろん、主人公が善人で正義感にあふれるナイスガイである必要は全くないので、こういう男(ロリで、嫌味っぽい)が主人公であってもいいんでしょうけどね。

 ●曲もまた素晴らしい

 いとうかなこさんが歌う2曲もいいですね。胸に響きます。「ガラスのくつ」はかなりのお気に入り。この曲を聴くために、クリアー後もゲームを度々立ち上げたりしています。

 アニメ「スクールデイズ」でもいとうかなこさんの曲がいくつかあるんですが、自分かなり好きで、時折聴いてます。なお「シュタインズゲート」でも、いとうかなこさんが色んなメディアに於ける(アニメ、PC版、XBOX360版など)各主題歌を歌ってますね。
 いとうかなこさんの曲が、このゲームに更なる大きな魅力を付け加えてますね。


PV●ホラーなボカロ曲

 ●ボーカロイドとは?

 ――ボーカロイド。それはPCに宿る歌姫。
 まぁ平たく言えば、「ボーカロイド」のソフトを買う事によって、PC上で機械音声による曲作りができる、というワケなんですね。要は、PCが歌を歌ってくれるワケです。

 ボーカロイドで有名なのは、何と言っても「初音ミク」。……なんでしょうけど、他にも「鏡音リン」や「結月ゆかり」など、多数のボーカロイドソフトが発売されています。なお、最初のボーカロイドは「MEIKO」だそうで。

 なおボーカロイドの生まれたいきさつですが、(本などの知識によれば)ボーカロイドというものは元々、曲に「借りの歌声」を入れるために開発されたのだとか。……それが今や、普通に「歌」として聴けるほどにバージョンアップされてきた、という事なんでしょうね。今やボーカロイドは、音楽界の一つのジャンルを築いてますからね。

 そのジャンルを築くのに不可欠だったものが、「YouTube」などによる、ボーカロイドの「PV(プロモーションビデオ)」なのだと言えそうです。
 ひとつふたつPVを見てみると、その完成度の高さに驚かされます。プロ級のアニメ効果。3Dモデルによる動きのある舞台。デザインセンスに優れたものも数多く、様々な趣向がこらされていて、観ているだけで非常に楽しめます。

 ●曲作りは簡単なのか? →そうでもないです。

 自分は「初音ミクV3」を購入したんですが、「このソフト一本で、曲作りができる」みたいですね。そういうお手軽さはとてもいいと思います。(値段は1万円以上もしますが)
 なお、ボーカロイドソフトの中古品は、「起動できない」可能性がかなり高い(おそらく無理)と思われるので、購入しない方がいいでしょうね。ソフトに「PCの認証」があって、「ソフト1本につき、1つのPCでしか起動できない」作りになっているんです。なので、新品を買う他はなさそうです。

 自分はまだ触り程度しかいじっていませんが、ミクにちょっとしたアカペラを歌わせるのは簡単でした。ドレミファソラシドの音階に、文字を入力するだけで、ミクは歌ってくれます。
 でも、楽器を交えた演奏となると難しい。
 その先は市販のガイド本などを読みながら、地道に進めていくしかなさそうです。色々と覚える事が多いので、曲作りを今までした事がない人が触れてみても、多分そうとう苦労するんじゃないかな、と思われます。

 ●個人的ないきさつ

 個人的な話ですみませんが、僕はまず「結月ゆかり」の「月の響」というアルバムから聴き始めました。ちょっと機械音っぽい声だけど、普通に聴けるなぁ、という印象でした。
 なおどの曲も、今まであまり聴いた事がないような、不思議な曲ばかりだと思いました。歌詞も風変りなものが多いかな、と。(電波系というか)

 次に「初音ミク」のアルバムをいくつか聴いてみました。なおネットで調べていく内に、有名なボカロ曲の知識も得て、それらのPVを観てみたり。(「千本桜」など)

 ●

 ……さて。ここからが本題です。
 ボーカロイドの曲を聴いている内に、いくつかの「怖い曲」にも出会えました。……とは言え、恐ろしいという感じではなく、ブラックジョーク的な、そこそこ笑い飛ばせる感じのものばかり、だったんですけどね。

 出会いはまず、結月ゆかりの「サヨナラチェーンソー」でした。殺戮(さつりく)なんですよ、これがまた。
 レンタルしたCDをPCに落として聴いていたんですが、ある時思い立ってPV映像を観てみたんですね。そしたら歌詞がなかなかエグくて、驚きました。
 PV自体もなかなかよくできてまして、感心しました。

 このPVはぜひ、ホラー作品としてサイトで紹介してみたいな、と思いました。そしてどうせなら、まだまだたくさんあるであろう、「ホラーなボカロ曲」を探して紹介しようかな、と。
 ただ、自分はボーカロイドに触れてから日が浅いので、もっと有名な怖い曲がまだまだあるかもしれません。その時はどうぞみなさん、掲示板で教えて下さい。


 注:以下に記す「feat.」とはフューチャリングの意味で、その曲を歌っているボーカロイドをあげています。

 なお、ボーカロイドで曲を作る人を「ボカロP」と呼びます(「P」はプロデューサーの意)。自分のペンネームの語尾に「P」を付ける方も多くいるようですね。

●ボカロ ホラー曲レビュー

サヨナラチェーンソー/くらげP feat.結月ゆかり

 [PV

 結月ゆかりの曲の中でも個人的に1、2を争うほど好きな曲。(「ユカユカ☆ヘヴンリーナイト」もかなり好き)
 CDでは普通に聞き流していたんですが、PVで細かな歌詞を知るとなかなかに納得のいくホラー話である事がわかりました。ボカロのホラー曲って、こういった「日頃のストレスが爆発」するような曲が多いような印象を受けました。
 結月ゆかりの愛らしい声に乗せて、しかし歌詞はキレている。「ガタガタガタガタうるせえよ!」なんて。

 殺戮話(実際に行っているという設定ではないのでしょうが)湧き上がるメロディに乗せて、爽快に美しく歌い上げています。
 何やら「新たなホラーの解釈」すら見せられているかのようでした。

 幸せになれる隠しコマンドがあるらしい/うたたP feat.結月ゆかり

 [PV

 ↑↑↓→……回転、反転……って、「こんな歌があるか!」と言いたくなりますが、上手くリズムに乗って、歌になってますね。歌詞は覚えられないでしょうけど。
 「型破り」ってこの事だな、と思います。

 キレイな絵のPVも優秀で、さらには物語の展開やオチも素晴らしい。
 特に後半部分。聞きながら、次第に恐ろしくなっていきます。確かにストレスたまりますよね、これじゃ。

 マジでぉこだょ?ァたし間違ってない/うたたP feat.MAYU

 [PV

 これもうたたPさんの作品。歌の一言目で、まず笑えます。
 ストーカー少女の恋の歌。キチガイじみたストーカー行為をしていながら、全くおくびれる事のない少女。怖いです。しかもタイトルは逆ギレぎみという。
 歌の旋律は普通にいいですね。そうそう、ラストも笑えます。

 キメラ/ATOLS feat.IA

 [PV

 お経めいた不可思議な歌詞。曲そのものも非常にいい。
 聴いた感じ、ボカロ曲というより、人の肉声を音声加工したかのように聴こえますけどね。

 3Dで描かれた、何だかわからない映像(角川ホラー文庫の表紙画みたい)。次第にホラー色が強まっていきます。
 とにかく圧倒されます。

 脳症炸裂ガール/れるりり feat.初音ミク&GUMI

 [PV

 ――どうせ100年後の今頃にはみんな死んじゃてるんだから。
 確かにそうですよね、という感じがします。もっと気楽に生きたいものです。

 モノクロ主体のオシャレなPV。動きもバッチリ決まってます。
 で、ボカロの声って元々、(人の肉声と比べると)ちょっと甲高い感じなので、こういうキレた感じの曲が似合っているのかもしれません。早口でまくしたてられても、何だかしっくりきます。
 「電波ソング」。そういった単語を思い出します。

 プラスティック少女/融合P feat.GUMI

 [PV] ※オリジナル版は削除されたようなので、英語字幕が入っているバージョンです。

 イジメを受けた少女の復讐劇。人形の存在が効いてます。人形の様々な表情も生きてますね。
 ちゃんと物語になっていて、オチまでありますね。

 印象的な映像に合わせて、サビが耳に残りますね。悲痛な歌ですが、いい曲です。なお「Pandemic」という前作もあり。

 ハーメルンの悪夢/暗黒童話P feat.初音ミク&巡音ルカ
 (情報提供: すけあくろうさん)

 [PV

 有名な「ハーメルンの笛吹き男」の童話を元にした、作品。
 笛を吹きながら、夢の国へと子供達をいざなう笛吹き男。しかしこの童話は、恐ろしい事実を元にしているといわれている。子供達は身売りされたのだ。いや、笛吹き男に誘拐されたのだ。いや、これはペストでたくさんの人間が死んだ事を語っているのだ……などなど。
 ノリのいい低音のエレキギターに乗せて、ミクとルカがはかなげな声で歌います。

 動く絵本、といった感じのPV。センス抜群の絵です。

ロッテンガールグロテスクロマンス/マチゲリータP feat.初音ミク
 (情報提供: 福本狂さん)

 [PV

 隣人を好きになったミク。だが、その彼には恋人がいた。そしてミクは異常者だった……。
 3Dモデル(MikuMikuDance)でドラマ風に再現したPV。動きもスピーディ。歌詞にあわせて、ミクが口を動かすアクセントが効いています。

 本当はオリジナルPVを紹介すべきなのですが、こちらの方が見ていて楽しいので。(オリジナルPV(静止画)

 シザーロイド/ざわざわP feat.初音ミク&巡音ルカ
 (情報提供: 福本狂さん)

 [PV

 マスター(作り手)を妹分のルカに取られてしまった、ミク。そしてミクはルカに殺意を抱き始める……。
 ミクの透き通った声が印象的。PVは静止画で描かれていますが、枚数はかなり多いです。

 オリジナルのPVが見つからなかったので、ちょっと外国語が混じってます。

 死にたがり/梨本うい feat.初音ミク

 [PV

 死にたがりに対しての冷たい言葉。キツイ、これはキツイ。でも最後に優しさが混じってますね。それがなかったらホントに、曲そのものがマズイんじゃないの?というレベル。
 独特なデザインセンスがあふれる、イラスト調の優秀すぎるPV。
 曲そのものは明るくて軽い感じですけどね。甘えのある死にたがりを突き放してしまう歌。でも人間、強くなくては生きてはいけない……。

鬼火/まさ feat.初音ミク&GUMI

 [PV

 私の苦しみお前にわかるか、私の苦しみお前にわかるか、ああああああああああああ……
 やたら怖い。怨念(おんねん)を真正面からぶつけられているような感覚。しかしてクセになるテンポ。逃げられません。
 障子が開かれるところもほんと怖い。

 PV自体は、まささんが作った中ではそんなに高いレベルのものではないのですが、まささんが作った数々の曲の中でもズバ抜けてこの曲が怖いので、あえてこの曲を推します。 
 PVの解像度が非常に不安定なんですが……Youtubeの右下の「設定」を、自動ではなく360P固定にすれば多少マシになる感じです。

 狐の嫁入り/まさ feat.初音ミク&GUMI

 [PV

 人間の姿をした化け物女に食われてしまう、という感じの話でしょうか。
 やはり化け物は化け物であり、意思の疎通(そつう)などできない。そんな感じの怖さがあります。

 ボカロ曲は早口の曲が多いような気もしますが、その早さが妙な焦りを生み、この曲の怖さを引き立てているような気がします。

 ●他

 ネットで「厳選!絶叫注意!!夏に聴きたいボカロホラー曲」というページを見つけたので、あわせて紹介致します。

 「ももいろうさぎ」とか、見事にホラーしてます。絵はムゴイですが。

●あとがき

 無数のボカロ曲のPVが、「Youtube」や「ニコニコ動画」にアップされているんですが、どれも3〜5分程度なので気軽に観る事ができていいですね。
 意外と、初音ミク以外のボカロの曲も数多くあるんだなーと気づかされました。

 もの凄く怖い、という曲には巡り会えませんでしたけど(後日談: 「鬼火」にはやられました)、ホラーというものを「怖い」というだけではなく、爽快に、時に笑えるように描いたり、と新たな解釈を得る事ができて、感心してしまいました。
 それにしても、ほんと優れたPVが多くて、観る度に感心してしまいます。プロ級の動画も多々ありますからねー……。世の中、凄いな、と。


 ゲーム●アパシー 鳴神学園都市伝説探偵局
 (NINTENDO DS(携帯ゲーム機))

 原作 飯島多紀哉
 製作 ARC SYSTEM WORKS/DEL

 ホラー度:★★☆☆☆(ホラー度はかなり低め)
 面白さ :★★★☆☆(キャラとシナリオはイイ。全体的に選択肢は多めで、分岐後の展開も大きく変化する。ゲーム難易度は普通。タッチペンを使ったミニイベントも楽しい)

 (あらすじ: 主人公の賽臥隆恭(さいが りゅうすけ)は、鳴神学園のOBから「オカルト同好会」へ強く勧誘される。それには理由があった。賽臥の眼には秘密があったのだ。そんな会へ入るつもりもなかったが、周囲で起こる怪奇な事件に巻き込まれていく内に、いつしかオカルト同好会のメンバーと関わりを持つようになっていく。そして自分の奇異な眼が何であるのかを知っていく事になる)

 (一言: 分岐選択式のノベル。主に学校が舞台。イベント画は少なく、ほとんどが「立ち絵のみ」での進行。選択次第で展開が大きく変わり、なかなか読む事ができないシナリオがあったりする。登場人物は多めだが、それぞれがかなり個性的。肝心の「都市伝説」に関しては、やや力不足(衝撃も怖さもない)。市販ソフトなのに、誤字脱字が多すぎ。なおシナリオの容量も、数日遊べば全クリアーできそうな程度で、やりこみ要素は低め

●いきさつ

 飯島多紀哉(たきや)氏こと、元、飯島健男氏。
 ウインドウズ以前のPCゲーム「ラストハルマゲドン」「BURAI(ブライ)」などを手がけ、SFC(スーパーファミコン)「学校であった怖い話」でブレイクした(と思われる)クリエイターさんですね。
 どれもリアルタイムで遊んでいた自分は、飯島健男氏を「神」とあがめるほど、氏の創作したものに夢中になっていました。今でも無条件で好きな作家です。

 ただし、氏の手がけた作品は「当たりハズレが激しい」という印象もあります。
 PS2での「四八(仮)」はちょっとしかプレイしていませんが、イマイチだったという印象。アマゾンでのレビューを見ても、酷評ばかりが目立ちます。

 近年、僕はふと思い立って携帯ゲーム機の「NINTENDO DS」を購入(アドバンスゲームも遊べる「DSLite」)。
 色んなゲームで遊んでいる中、なつかしの師、飯島健男氏こと飯島多紀哉氏が手掛けたゲーム「アパシー 鳴神学園都市伝説探偵局」を購入し、ついでにレビューしてみようかと思った次第です。
 なお、PCソフトでも「アパシー」シリーズはいくつか出ていますね。同人ソフトみたいな位置づけにあるようですが、アマゾンでも購入できますね。


主人公、賽臥隆恭。

やや不良っぽい。
特殊な眼の事をのぞけば、
ごくフツーの高校生。
●プレイ&レビュー

 「第1話 トモダチのトモダチ」。
 学校にて。主人公、賽臥隆恭(さいが りゅうすけ)の元に、上級生がやって来る。彼は服部(はっとり)。困った事があって友人に相談したところ、神ヶ崎という人を紹介された。その神ヶ崎が、賽臥を紹介してきたのだという。……少しややこしい。
 賽臥は服部とは初対面。いきなり何かを相談されても困る。と、ここで「話を聞くか聞かないか」などの選択肢が出てきます。

 DSは上下2画面あるんですが、上画面にノベルが表示されて、下画面をクリックする事で読み進めていきます。途中出て来る選択肢も、下画面をタッチペンでクリックして選択、ですね。
 なおクリックしなくても、Aボタンでも読み進めができますし、Yボタンで早送りもできますね。システム的にはわかりやすくて良好。
 
 で、服部の相談に乗ってみます。
 服部を悩ませている、という家。そこは、久多良(くたら)家だった。賽臥がワケあって、住んでいる家だ。
 その家から女の子が出て来る。彼女は久多良 唯桜(いお)。賽臥とクラスメートである。 

 ちょっとした会話の後、服部はすぐに帰ってしまう。
 そして後日。服部は、悩みを自分で解決する事にしたと賽臥に告げる。あっけに取られる賽臥だったが、服部の笑顔を見るとどうやら彼を悩ませていたのは、久多良唯桜だったようだ……。

 ……選択肢の関係か、この辺のシナリオはあっさりぎみ。話としても特に面白いワケでもなく。


しつこい男、神ヶ崎。
 家――久多良家に帰ると、賽臥の元に客が来た。
 神ヶ崎。鳴神学園のOBだ。彼は以前から賽臥をつけ狙い、しつこく「オカルト同好会」へ勧誘してくるのだった。いいかげん、賽臥は嫌気がさしていたのだった。
 神ヶ崎が賽臥をつけ狙うのには、どうやら理由があるようだ。(その理由については、後で明かされる)

 シナリオの印象としては、序盤は特に大きな事件が起こるワケでもなく、色んな人に会いながら、淡々と進んでいく感じですね。
 選択肢によって話の流れに変化が生じるのか、1話行ったあとに6話に行って、14話に行ってから2話へ行く……とか行ったり来たりしますね。

 全21話もあるみたいですが、1話毎はそこそこ短め。このゲーム、もしかすると数時間もあればあらかた読んでしまえるんじゃないかなぁ、と。
 たまにタッチペンを使って、画面をタッチさせるイベントがあったりするんですが(素早くタッチさせたり、ちょっとしたパズルがあったり)、DSならではの仕掛けでこれはいいと思います。

 ●誤字脱字の連発。ありえないほどに

 「意外」を「以外」と書いたり、「見ず知らず」を「水知らず」と書いたり……何ともガッカリする誤字があったかと思えば、致命的なものを見つけてしまいました。
 妖怪ベロリの話の中で、主人公の賽臥(さいが)のセリフ。改行部分が一文字ズレて表示されてしまってます……。ケータイ小説などで見かける、「妙なところでのいきなりの改行」が、市販ソフトで起こってしまっている……。
 さすがにこれは、市販ソフトでは「やってはいけないレベルのミス」なんじゃないか、と。

 さらには選択肢の中にまで脱字があったりと、もうめちゃくちゃ。軽く一回プレイすればわかる程度の誤字脱字を、こうもボロボロ出してしまう市販ソフトって……ひどすぎますね。

 脱力……してしまいますが、原作が「自分の中での神」である飯島多紀哉氏という事もあり、自分の中では許容してしまいます。
 確かに話そのものは悪くないです。どちらかと言うと、面白い。
 どのキャラも個性的で、キャラの書き分けも上手い。すぐにキャラを覚えられるんですね。飯島氏はほんと、キャラを作るのが上手い方だと思います。

 ●まずは1回クリアー

 ほとんど詰まる事もなく、1回目のクリアー。エンドロールで歌が流れます。DSから歌が流れるとか、何だか不思議な感じがしますね。

 で、タイトルに戻ると、章の選択ができるようになりました。
 そこで物語全体の分岐のフローチャートが表示されるんですが……ウソみたいに分岐が少ない。全体像があまりにも簡素。

 アマゾンでみかけたレビューの酷評の大半が、これ。
 ――中身が薄い、という事。
 数時間程度で、全部読んでしまえるんじゃないかと思えるほど。預言者ヒッポ様なんて、ただの一脇役キャラかと思えば、これがこのゲームの大きな柱になっていたようで。

 フローチャートの単純さにあぜんとし、そしてがっかりと……。
 市販ソフトならこの3倍くらいは欲しいんじゃないかなぁと……。しかも定価はそんなに安いソフトじゃないでしょうし……。(自分は中古で1300円にて購入)

 それでもまだ読んでいない話があるので、読み進めていこうと思います。
 一応、各話ごとにも分岐はあるので、それらを考えればまだまだ底は知れないハズですから。


富樫 美波。

「オカルト同好会」の会長。
頼りになるのかならないの
かよくわからない人。
でもオカルトには詳しい。
 ●まだ読み進めていく

 「天運の男、神ヶ崎」、「幽霊の棲む館」とか読んだんですが、ちょっとイマイチだったかな、と。軽めの話ですね。
 大体、子供の猫探し(正確には猫の墓探し)をしてあげる探偵局って……。親切なお兄ちゃん達、みたいなシナリオは個人的にはあんまり受け付けないというか……う〜ん。

 第1話の「トモダチのトモダチ」。何度かやり直してみたんですが、アランちゃんの話を聞くシナリオになると、なかなか面白くなりますね。アランちゃんは、「地獄の穴」というウソの都市伝説をネットの掲示板に書き込んだのだが、それを他人にウソと見破られ、しかも脅しをかけられてしまった。
 ここはかなり選択肢なども多く、気合いの入った推理ゲーム風になってたりして、楽しめました。

 ……読み進めていくと、最初プレイした時より、印象はかなり良くなってきました。
 特に第1話は、選択肢次第で全然話が変わってくるんですね。

 しかして、アランちゃんのシナリオの推理部分が解けません。
 複数のメール文や脅迫メールを読んで、タッチペンで「おかしな箇所にラインを引く」などというイベントがあったりするんですが……、どうにも上手くいきません。
 何度か試してもクリアーできなかったので、ここは一旦あきらめます。他の話を探ってみます。
 ここをクリアーすると多分、この後の展開も変わってくると思うし、見れていない話が見れるようになると思うんですけどね……。

 なお、セーブが一カ所しかできないのも不便ですね。

 「第2話 預言者ヒッポ様」は、ゲーム進行時に必ず通るシナリオのようですが、そこでの分岐もなかなかに多いですね。
 ヒッポ様に質問責めされる所があるんですが、そこで次のシナリオが決定される仕掛けになっている模様。

 ゲームプレイを重ねていく内に、このゲームのキーワードである「都市伝説」が上手くからめてあるな、と思ってきました。色々と出てきます。
 そんな中、主人公の賽臥の持つ不思議な眼について、物語で何度かスポットを浴びますね。
 眼を売る男の話などが出てくると、なかなか面白くなってきます。

 ゲーム中、「学校であった怖い話」に登場する変人「風間(かざま)」が何度か出て来るんですが(同一人物かは知りませんが、多分狙ってやっているんでしょう)……、ちょっとイマイチでした。
 絵がハンサムすぎるし、セリフもただのキザ男……。「学校〜」の時みたいなオモロイ感じがあんまり出ていない。飯島氏、イマイチ乗り切れていなかったんでしょうか……?

 いやっはや。シンババの壊れっぷりには笑いました。少女趣味の服を着たおばさん教師なんですが、もはやイッちゃってます。
 ……そうですね。こういう壊れた話、読んでて楽しいです。

 このゲーム、結構真面目な話が続いていた気がするんですが、ここでの弾けっぷりは楽しかったです。オチの辺りまでホント笑えました。

 ●

 今更ながら、倉持千夏はメインキャスト扱いなんですね。オープニングデモで、でかでかと出てきますし。
 彼女のバカッぷりがまたスゴイ。「びっくらコンキンカン!」に始まり、「ありが十匹大行進!」とか「〜〜なのニャ!」「なのだワン!」とか、もうメチャクチャ。……いや楽しいんですけどね、一応は。
 でも、彼女が役に立ったのを見た事はないですね……。この先も役に立ちそうな気もしませんし。

●総評

 プレイを重ねる度に、なかなか面白くなってきました。
 回数を重ねても、なかなか見られないシナリオが多数ありますね。思った以上に遊べるんじゃないかな、と。
 底が浅いように見えて、実はそうでもないようで。選択肢によるシナリオの分岐も、なかなか派手にしてくれますし。1話なんか特に、派手にシナリオ内容が変わりますからね。

 ちょっと困っているところが、今は2つ。
 まずは預言者ヒッポさまのところ。立て続けにくる選択肢の数が多くて、どう選んでいけば、見られないシナリオに行けるのかイマイチわからない。偶然に頼って進めていく他なさそうなのがツライ。
 もう一つはアランちゃんシナリオの推理部分。ここは難しいというか、色々試しても手ごたえがない、という感じ。もう少し、わかりやすい感じにして欲しかったんですけどね。

 ●

 誤字脱字のムゴさはありますが(はっきり言ってヒドすぎるレベル。プレイする度に、何かしら見つけてしまうほど)……、飯島多起哉氏は、僕の信じた飯島健男さんのままでした。
 ゲームに衝撃度がそんなにあるワケじゃないんですが……、水準以上の面白さを提供してくれています。やっぱり飯島氏の書くシナリオは面白いです。どのキャラも活き活きとしていますし。

 ●昔を振り返って

 今時のみなさんは「ラストハルマゲドン」や「BURAI」などを知らない方も多いと思いますが、当時は(10年以上前。ウインドウズ以前のPC−8801、MSX2などの時代)、PC雑誌のメインを飾るほどのゲームだったんです。そして、それだけの期待を裏切らないゲームであったのも確か。僕も、氏の創作したゲームにどっぷりと浸っておりました。
 「BURAI」は「里見八犬伝」みたいな感じで、面白かったんですよ〜。荒木伸吾さんの絵が、また素晴らしくて。
 「ラストハルマゲドン」は魔物が主役で、エイリアンと戦うという異色のRPGでした。

 そのシナリオを書いたのが、飯島健男氏。そしてそれらのゲームを小説にした文庫小説も、総数20冊ほども出ていたんですね〜。(僕はほとんど持ってました)
 ちなみに「学校であった怖い話」の文庫小説は上下とも、5000円近くのプレミア価格にて、アマゾンで見かけました(2012/12現在)。再販などはまず見込めないと思うので、氏のファンにとってはまさにプレミア級のお宝になってしまった模様……。(幸い、僕は持ってます)

 ペンネームは変われど、今も変わらず活動を続けてらっしゃる飯島氏。……まだまだがんばってほしいですね。
 PCで「アパシー」シリーズも多数出ているようですので、そちらの方にも期待してみたいと思います。

 ちなみにこの「鳴神学園都市伝説探偵局」。アマゾンで新品が500円以下(2012/12現在)で購入できるようですので、興味のある方はどうぞ。


 ドラマCD●ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD
 (情報提供:DDさん)

 製作 EDGE RECORDS

 ホラー度:★★★★
 面白さ :★★★☆☆(3話目は★4)

 (一言: 主人公を愛する3人のヤンデレの女の子との、狂気の物語。3人のそれぞれ違った話が繰り広げられます(約15分×3)。怖いと言うより、異常さに笑ってしまう感じ。確かに怖い瞬間もあります。でも何度も聴きたくなるかどうかは、かなり疑問)
 
●いきさつ

 ウチの掲示板にて、DDさんから情報をいただきました。

 またまたホラー検証のお願い  投稿者:DD  投稿日:2010年05月01日

 (前略)さて、そのドラマCDというのは「ヤンデレな女の子に愛されて眠れないCD」シリーズというもの。
 現在第三作目まで出ており、「〜眠れないCD1」「〜眠れないCDぎゃーっ!(2)」「〜眠れないCD惨(3)」があります。(略)

 コンセプトは全て「主人公のことが好きで好きでたまらない女の子たちが何らかの理由で病んでしまい、こちらがピンチに陥る」というもの。最初は和やかに過ごしているけれど、ふとした瞬間に入ってしまう狂気のスイッチ。好き過ぎるが故であったり浮気を目撃したためであったり愛に不安を感じたりと理由は様々ですが、いずれにせよ痴話喧嘩程度では済みません。
 あるときはひたすら付きまとい、あるときは凶器を片手に問い詰め、またあるときは欲望のままに主人公を監禁・・・

 怖がらせることを重きに置いているわけではないので、少々物足りなく感じるかもしれないし全く興味が沸かないかもしれませんが、ほんのり怖くまったり萌えたい時にはぴったりの品だと思います。
 余談ですが、自分的には(と言ってもほんの少し聞いただけですが)CD2の幼馴染、小鳥遊夢見の豹変っぷりは本気で怖かったです。声優ってすごいなぁ・・・(後略)

 との事。ご紹介ありがとうございました。
 
●聴いてみます

 「ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD」の1作目を購入。通販で1000円程度だったもので。
 パッケージには、いかにもヤンデレそうなアニメ顔の女の子が。中にも、制服姿の3人の女の子が描かれたシートが入っています。定価は2000円。

 3人の女の子とのドラマ。3人とも、主人公である「聞き手」が大好きでたまらない、という設定。
 聴いてみると、女の子が独り言を言っている感じ。主人公やその他の声はナシ。でも効果音とちょっとしたBGMが盛り上げてくれます。

 ●妹「野々原 渚(なぎさ)」編

 妹に手料理を出されているところから始まる。
 主人公、やんわりと問い詰められています。どうして女モノのハンカチを持っていたのかとか、最近帰りが遅いね、とか。
 でもそれらは、兄が他の女の子と仲良くしているのからなのだと、妹はすでに知っていたのだった。
 渚は「お兄ちゃんが大好き」で、他の女の子に嫉妬しているんですね。そして最近、お兄ちゃんが自分に対して冷たいのが、不満な模様。

 「お兄ちゃんの事を世界で一番わかってるのは、私! 私なの!!」
 いきなりぎみにキレる妹。
 しかし、時はすでに遅かった。ヤンデレの妹はもう……過ちを犯してしまっていたのだ。
 「お兄ちゃんにすり寄ってくる意地汚い女どもは、みんなもうこの世にいないのよ?」
 ……とか可愛い声で言われると、妙に笑えます。こういう楽しみ方をするのかなぁ、と?

 「お兄ちゃんにはあんなのいらないもん。お兄ちゃんの傍にあんなのがいたら、お兄ちゃんがくさっちゃうわ」
 そんな感じで、どんどん自分の凶行を暴露していく妹。
 怖くなって逃げようとする主人公を妹は……。

 ●感想

 声優さんの声、ややキンキンしていて、耳障りな時も多々ありました。
 でも、3つの話の中で一番笑えました。「意地汚い女ども」が妙にツボでした。
 いきなりキレて吠えるのが何度か。+ドガシャーン!という効果音が鳴って、なかなかな迫力。

 話が始まった時点で、ホラー的にすでに始まっている(手遅れになっている)というのも、話が早くていいですね。
 シメもなかなか良かったです。だらだらしてなくて。

 また、「両親がいれば話が成り立たないだろうな」というのは、いかにもエロゲー的なんですが、そういう世界観をあえて演出しているのかな、と。
 余談ですが……、僕も妹に愛される主人公の話(悪魔少女ども)を作ったワケなんですが、こういったヤンデレ風味は全く入れてなかったので、入れたらまた違った感じになったのかなぁと思ったり。作った時はうかつにも、考えもしませんでしたけどね。

 ●幼なじみ「河本(こうもと) 綾瀬」編

 快活そうな感じの綾瀬。晩ご飯を作ってくれています。
 なにやら悩ましげな声でうなってますが……、汚れがとれなぁい、との事。包丁の汚れ、らしいんですが。

 綾瀬は幼い頃の話などをし出す。イジメられていた主人公を綾瀬が助けてくれたのが、出会いの始まりらしい。しかも隣の家だったという。

 主人公が他の女の話などをしていると、綾瀬はキレ出す。主人公は上手くごまかしたようで(主人公の声はない)、綾瀬は安堵する。
 「私はアナタの彼女だもん。他の女なんていらないよね?」
 何の話かと思えば、言葉通りの意味だと言う。

 そこで電話がかかってくる。主人公のケータイらしい。
 妹の渚からの電話だった。

 「間違い電話じゃないの?」と何故か言い切る綾瀬。「ちょっと待って。私が様子見て来る」
 その時綾瀬は小声で「チッ。あの女、まだ動けるのか……」と呟いた。

 ● 
 
 綾瀬が主人公の元に戻ると、主人公は綾瀬を恐れ出した。やや事態をつかんだらしい。
 綾瀬を突き飛ばす。
 「どうして? 私はアナタの彼女なのに……どうしてそんなひどい事するの?」
 「あ、そっか。悪いのは、逃げようとする、その手足だよね?」
 そして綾瀬は凶行に出るのだった……。

 ●感想

 この2話目。なかなかツッコミどころが多い話でした。
 「何でそうなるの?」「何でそんな思考になるワケ?」という感じですね。感覚がズレすぎて、ちょっとノレなかった気が。
 ラストもちょっと弱かった。もっと派手にいっても良かった気が。
 かと言って、全然面白くなかった、というワケでもなかったんですが。3話の中で、一番暴力的かな、と。使っている凶器も怖い。

 ●イジメられっ子「柏木 園子」編 ※ネタバレぎみなので注意

 綾波レイ?という感じのおっとりとした口調と声。
 園子との出会いは、主人公が夜の公園で泣いている園子をなぐさめた事から始まるらしい。そして今は主人公とつきあっている模様。

 ですが、どこでどんな風に、主人公と語っているのかはわかりません。園子はただ静かに、昔話を喋っています。
 園子は主人公と、幼なじみの河本が一緒に登校するのが悲しくてたまらなかったのだと言う。

 「だからある日。勇気を持って、ある決断をしたんです。……河本さんには、いなくなってもらおうって」

 ここでややまともな事を言うんですね。それが社会的には認められるものじゃない事を、自分はわかっているのだと。
 ……ちょっとした事ですが、これは自分的にはポイント高いです。ただやたらめったらにヤンデレで、他人や主人公に危害を加える、というのより、「あぁ、わかってやっているんだ」と納得する部分が出てくるワケですね。
 理知的な部分があると、身を入れて聞いてみたくなります。

 「アナタの代わりはどこにもいない。アナタの代わりは誰にもなれない……」
 そう園子は静かに語り続ける。
 そして話の中盤になってから、主人公がどこにいて、どんな状況で園子と話しているのかが、次第に明らかにされていきます。
 それはどんどん狂ってゆく。あぁ、もしやすでに……。

 ●感想

 3話の中で、一番面白く聴けました。怖さもこれが一番かな、と。
 ずっと静かに語ってくれるのがいいし、3話の中で唯一「……殺す事にしたんです」とハッキリ言ってしまうのがいい。
 この子、話の中で一度もキレなかったんですが、キレたらどうだったのかな、と。キレないからこそ、凄みがあったのかもしれませんし、キレたらそれはそれで凄く怖かったかも。ややびくびくしながら聴いてました。

 ラストまで、主人公がどんな状態になっているのか、漠然としか想像できないのも良かったです。上手い。

●総評

 多分、ごくフツーの人がこのCDを聴いても、さほど面白いとは思わないだろうなぁと。ただ単に「何だコレ?」という感じで。
 僕も途中で「とても聴いてらんない……」と何度か投げ出しそうになりましたから……。

 でもレビューを書くにあたり、何度か聞き直している内に、面白味が増してきました。
 3話目が特に気に入りました。1、2話目のようにただキレればいい、というものじゃないんだなぁと。自分的にも、得るものがあった気がします。

 そう言えば不思議と、彼女達はキレても、汚い言葉使いにはなりませんでしたね。それは愛が根底にあるせいなのか。

 で。「話を3人それぞれに作った」というのは成功だったと思います。
 1つの物語を3人ごっちゃに出演したのであれば、聴いてて誰の声かわからなくなったりして、聞き手も混乱しそうな気もしますし。だからスッキリしている、今の作りがいいと思います。
 ショートストーリーが3本。区切りがあって疲れないし、だらだら感も低め。違った色合いで楽しめました。

 ●やはりシナリオが命

 声優さんの演技というのもあるでしょうけど、一番は、シナリオの面白さがあってこそ、なんじゃないかと思います。
 そういう点で、なかなか頑張っていたと思います。1話目のような「エロゲー×ヤンデレ」みたいのが3回も続いたのであれば、評価は低かったんですが、3話ともやや色合いが違っていたので、楽しめました。
 何度も言いますが、やはり3話目。この話が良かったからこそ、全体の評価も上がりました。

 ただ苦言を呈すれば、定価2000円を払ってまで聞く価値があるのかどうかは……、難しいところ。レンタルなどであれば、試しに聴いてみるのもいいかもしれませんけど。
 買って聴いても、そう何度も聴きたくなるようなものじゃないと思うので。いい歌などが入っているのならまだしも。

 とは言え、作品そのものとしてはなかなか面白かったですし、こういう変わったもの(ヤンデレ少女のドラマCD)を創作してくれると、感心してしまいます。まだまだ表現の幅というのはあるのだなぁと。
 パッケージ画なども良かったですね。瞳の表現も深いです。

 紹介して下さったDDさん。なかなかマニアックなものを教えていただきまして、真にありがとうございました。面白かったです。


 雑誌●怖い噂
 (本体562円/2009年4月創刊/ミリオン出版)

 ホラー度:★★★☆☆
 面白さ :★★★★☆

 (一言: 都市伝説化した様々な「怖い噂」を紹介している雑誌。心霊関係、国がらみの闇の歴史、凶悪な殺人事件の数々、怪死した有名人の謎、厳選された恐怖話など、話題の幅は広い。ホラー度は普通)

●いきさつ

 「怪談・都市伝説・未解決事件・恐怖 ― 怖い噂 VOL.1」。コンビニの書棚で発見し、すかさず手に取ってみました。

 VOL.17まで出た「不思議ナックルズ」という雑誌の後継誌。月刊誌ではなく、季刊誌っぽい感じですね。この4月の次は、7月に発刊との事。
 今後もどういった話題で楽しませてくれるのか、大いに期待したいです。

●読んでみる

 まずは「日本”魔界”紀行」として、昔に「首塚」のあった場所や「幽霊が出るゲーセン」、はたまた「某真理教施設の廃墟」などが紹介されています。
 偶然、廃墟で死体を発見してしまい、警察に通報したみたいですね。
 こういう事、やっぱりあるんですねー。僕が以前読んだ「樹海の歩き方」という本でも、樹海探索中に著者自身がかなりの数の死体を発見してしまったようで、巻末には世にも恐ろしい数々の死体写真が……(ややモザイク入りで)。

 ●

 次は「『ほんとにあった!呪いのビデオ』の真実」。
 レンタル店でもズラーッと並んでいるのをよく見かけます。僕はまだ見た事がなかったんですが、その作品についてここで語られています。あれは真実の映像なのか、果たして……? 読めば納得という感じですね。

 中でも「名作」が挙げられているのが助かります。
 「ほんとにあった!呪いのビデオ special4」にて、「謎の女」。「ほんとにあった!呪いのビデオ18」にて「ビデオレター」。
 との事。今度、この2作ぐらいは見てみたいですね。

 ●

 後は霊能者やら「ムー」のようなオカルト記事が続き、ちょっと目が止まったのが、大槻教授の話題。
 氏がTV番組中、「月の石」をニセモノだと言って、周囲から叩かれた様子が記事にされています。シロウトの僕が読んでも、「口は災いの元だなぁ」と思ってしまいます。

 飯島愛の死の裏に隠された謎とか、TDL(東京ディズニーランド)のミッキーマウスの中に入れるのは、選ばれたエリートだけなのだという話や、映画「20世紀少年」が触れてしまった某宗教団体のタブー、など。

 数々の恐怖本を手がけた平山夢明氏や恐怖マンガ家伊藤潤二氏のインタビューなどは興味深かったです。

 ●

 「この”恐怖本”がすごい!」というようなオススメ記事は大好きですね。
 僕の好きな「クラインの壺」が挙がっていたのも嬉しかったし、「隣の家の少女」のジャック・ケッチャムの「オフシーズン」なども、個人的に惹かれるところです。

 「最凶 怖い話」。
 「六本木ヒルズ」祟りの真相、呪われたレリーフ、など7つの話が載ってますね。でも「最凶」というほど怖い話というワケでもなく、残念。
 「六本木〜」の祟りの話だけはうなりました。事実の裏づけがあるみたいだったので。
 こういう怪談話って、勝手に作る事もできるので、そういう納得させる裏づけがないと弱いな、と思ってしまったりもしました。だから他の6話はちょっと弱かった。

 巻末に「ドラえもん」の最終話を同人誌として作って売ってしまった話が書かれてますが、著者の田嶋氏はプロのマンガ家だったんですね。
 ラスト2ページほどが掲載されていますが、そのクオリティには目を見張ります。あまりにも出来が良すぎたために葬られた、との話も納得です。
 全然怖い噂ではないんですが、こういう話題が載っているのも面白いですね。


 観光地●霊場 恐山

 ホラー度:★☆☆☆☆
 魅  力:★★★★☆

 (一言: 青森県北部、下北半島に位置する霊場。想像していた怖さというものはほぼ皆無で、清々しい?場所でした。慈覚大師円仁が彫ったとされる地蔵菩薩を本尊とし、様々な地蔵尊がまつられている。宇曽利山湖を望む、極楽浜があまりにも美しい)


恐山に入る前、道の途中にある
三途の川と太鼓橋。
善人にしか渡れないらしいのですが
あつかましく渡ってみたり…
●いきさつ

 2007年8月の夏休みに、青森県の観光に行ってきました。
 そんな中、青森県の北部、下北半島に位置する「霊場 恐山」に足を運んでみました。以前から一度は行ってみたい、と思っていましたので。

 基本的に下北半島は曲がりくねった峠道が多い。大間崎(マグロで有名)、仏ヶ浦(海岸沿いに奇岩群)などを結ぶ国道も、運転してみて大変疲れました。

 恐山につづく道もまた峠道。行きと帰りは人里に着くまで1時間弱かかります。が、さすが有名所。恐山の開山時間である朝の6時に到着したのに、既に観光客(参拝客?)がけっこういました。
 駐車場も広々としていて気持ちがいいです。湖が望めますし。


正面に見えるのが、本尊安置地蔵殿
●恐山 観光

 一言で言えば、異世界という感じでした。
 朝の早い時間にいったのが良かったのか、周囲に霧がかかっていて、幻想的な雰囲気をたんのうできました。
 総門(入口)を抜けると、石造りの道がまっすぐ本尊まで続いている。周囲にもいくつもの寺などが立ち並び、なんと温泉場(無料)まであるんですね。もちろん入りましたけど。温泉好きですから。

 本尊である地蔵殿を左に抜けると、そこから恐山の観光名所が広がっているんですね。
 荒涼とした砂利山が広がり、所々に小石が山状に積み重ねられていました。賽(さい)の河原で、親より先に死んだ子が永遠に石を積み重ねていく…とかいう話になぞらえたものなのでしょうか。

小石の山が処々にある。
風で吹き飛ばされないのが不思議
なほど、それらは弱々しく重ねられて
いる。

 観光路に沿って歩いていくと、不動明王、千手観音、水子供養御本尊、延命地蔵尊……などなどの様々な仏がまつられているんですね。
 それを中ほどまでいくと、地獄巡りが始まる。
 無間地獄、血の池地獄、塩屋地獄(塩屋って何…?)、賭博地獄……などなど。でも処々に特に何かあるワケでもなく、いまいちピンとは来なかったんですけど。血の池地獄だけは見た目にわかったんですけどね。(写真 左)

 そして写真右の奥に見えるのが極楽浜。
 ほんと極楽、という感じで。心が洗われる眺めでした。まだ朝の早い時間だったから良かったものの、これが日中だったら人だらけで落ち着かなかったかも…と思ったり。

 そういう事で今回は恐怖をお伝えするハズが、ただの観光になってしまいました。怖いところは何もなかったですね。
 人が死ねばお山(恐山)に行く、といわれるらしいのですが、ここなら安心して安らげそうな気がします。



「いっぺん、死んでみる?」
 アニメ●地獄少女

 ホラー度:★★☆☆☆(あまり怖くない)
 魅  力:★★★☆☆(映像美と閻魔あいの可愛さ)

 (一言: 夜中の12時、地獄通信にアクセスすると「地獄少女」が現れる。そして恨みを晴らしてくれるのだという……。紋切り型の(同じような)話が続き、げんなり。怖くない。映像は美しい)

●スタッフなど

 原案 わたなべひろし
 監督 大森貴弘(脚本などは、各話別々の人が担当)

 ●アニメ「地獄少女」公式サイト: http://www.jigokushoujo.com/

 ●TVドラマ「地獄少女」公式サイト: http://www.ntv.co.jp/jigoku/

●あらすじ

 夜中の12時。「地獄通信」にアクセスし、呪う相手の名前を送信すれば、「地獄少女」が現れて、その者を地獄に流してくれるという。
 ただし、「人を呪わば穴ふたつ」。恨みを晴らした者の魂も、死後、地獄行きとなる……。

 地獄少女、閻魔(えんま)あいの元に、今夜も誰かの恨みの声が届く……。

●感想


映像はすばらしい。 
 ……実は、かなり期待して観たんですが。ハズレました。

 まずDVDの1巻目、1〜3話を観たんですが、「作りが3話とも全く同じ」だったんですね。
 1話目の完成度は非常に高い(「地獄少女」のオーソドックスな形がここで完成されている)と思うんですが、続く2、3話目も、1話目の作りをすっかりマネてしまったのがいけなかった。

 主人公が悪人によってひどい目にあう。主人公が地獄通信にアクセスする。地獄少女からわら人形をもらう。(首の糸をほどく事で契約を交わした事になる)
 後日、悪人によってさらにひどい目にあい、契約を交わす事に。悪人、地獄へ流される。

 この先、続きを観たいとはとても思えませんでした……。 

 他「スカイハイ」(マンガ)にも話が似てるかなと(人を呪い殺せば地獄行き)思いましたが、このアニメの1巻目を観た限りでは、とてもじゃないけど「遠く及ばない」という感じでした。どれも、どこかで見たような話、という感じでしたし。
 さすがに映像はキレイなんですが。

 他。復讐に乗り出す地獄少女一行らが、悪人をこらしめるのにもったいぶりすぎるんですね。悪人らをとにかく恐怖に陥れないと気が済まない。それも悪趣味なしかけで怖がらせる。
 特に3話目の野球の話。マウンドで花笠(という悪人)を怖がらせるシーンはバカバカしくて、笑う以外のなにものでもありませんでした。悪ノリしすぎ。
 肝心のホラー映像も、幼少の子が見てもさほど怖くない程度かと。

 DVDが9巻〜ほどもあるようですので、この先もしかすると怖くなったり面白くなったりするのかもしれませんが……、1巻を見た限りでは、「もういいや」という感じでした。

●DVD 2巻

 それでもいちおう、DVDの2巻(4〜6話)も観てみました。
 4話目も期待ハズレなまま。前3話と全く同じ作り。面白くも何ともなし。

 5話目で少し、切り口が変わったかと思いきや……、ちょっと残念な出来。結局、ラストは前4話と似たり寄ったり。せっかく依頼人の少女が死ぬ寸前にいるのに、それを物語に生かしきれなかった気がするのですが。
 でも、少女が襲われる瞬間のあの緊迫感は良かったです。「バタフライ・エフェクト」とか思い出しました。ちなみにそこで依頼主の少女が殺されていれば、またかなり違った展開になったのになぁ、と(勝手に)思ったり。

 で、6話目はそこそこ……良かったかも。母親が隠しているものが、最後までわからないのがよかった。まぁラストシーンはまた同じなんですが。


 ……結果、DVD2巻でも物語が大して成長しているワケでもなく。それ以降はちょっと観る気になれません。
 しかして公式サイトを見ると、それ以降で1話完結じゃない続きものの話になったりもしているようなんですが……それはそれで。DVD1、2を観た限りでは期待できないかな、と。
 後半でもし面白くなるのであれば、「残念ながら、つかみ(出だし)が悪すぎた」と言わせていただきます。

 ●あの地獄流しがいいのか……?

  1〜6話を観た限りでは、あんまり冒険してなかった気がします。各話、色んなラストで楽しませてほしかったのに。
 でも、それは僕個人の意見であって、原作者の方はそういうのは好みじゃなかったのかもしれません。毎度毎度、閻魔あいが悪人を地獄へと送る、あれこそが崩せないラストだったのかも。
 だからこそ、「地獄流しの成就(じょうじゅ)」により、物語は完成されている……と言えなくもありません。

 ……が! もっと色々とひねれたハズ。すごく面白いからぜひ続きを観たい!とは全く思えませんでしたし。
 それとも淡々とした、あの感じでいいのか……。う〜む。

 映像と挿入歌などに関しては、文句のつけようがないんですけどね。
 でもホラーを期待すると、肩すかしを食らいます。きっと。
 「地獄少女」なんていう仰々しいタイトルのわりには、物語がアッサリしているような……。 閻魔あいがおとなしそうな性格をしているからでしょうか……。


サイト●狂気太郎
 (情報提供: サバイバルホラーさん 2006年5月)

 ホラー度:★★★★☆(18歳以上の方へオススメ度:★★★★★


 (一言: 作家、灰崎抗さんのサイト。サイト内小説「殺人鬼探偵」をはじめ、そのほとんどがすばらしい。……いや、すばらしすぎる。容赦のないスプラッター描写に圧倒。その他、ちょっとした哲学や「夢」の描写などにも感心させられました)

●いきさつなど

 当サイトの掲示板にて、サバイバルホラーさんに紹介の書き込みをいただきました。ありがとうございます。
 まずはオススメされた、サイト内小説、「殺人鬼探偵」をちょっと読んでみました。
 探偵でありながら殺人鬼という主人公、「黒贄 礼太郎(くらに れいたろう)」。テキトウに数万円で依頼を受けたその先には、毎回、殺戮が待っている。
 くじ引きで、殺戮のための凶器を選び、嬉々として向かう。彼は不死身?で俊敏(しゅんびん)で豪腕。「アペニャー」「パミャー」などという造語の奇声を発しながら、惨憺(さんたん)たる殺戮を繰り広げる……。

 その世界観は現実に即しているようで、SFぎみ。加えて、ややギャグ調に進んでいきますので、難しい事を考えずに、楽し?めました。
 過剰とも思えるスプラッター描写が盛りだくさんの、なかなか容赦の無いホラー小説でしたね。

 しかして、簡単に人を殺す描写が多い(主人公が無差別殺人をするという……)ので、幼少の子には読んでほしくないんですけどね……。

●サイト紹介

 狂気太郎 :狂気太郎さんの好きなもの、などが紹介されています。

 前置き及び人間の悪意について :サイトの前置きと一言。

 構築史 :サイトの歴史。

 小説 :このサイトのキモ、かと思われます。狂気太郎さんのオリジナル小説がズラッと並んでいます。

 独り言 :日記ですね。ほぼ毎日更新されているようで、すばらしいです。この方は作家であるだけではなく、普通に会社勤めしているようですね。

 その他、掲示板チャット部屋などがありますね。

●狂気太郎さん=作家、灰崎抗さんの著作

 「想師」「想師2−悪魔の闇鍋」「殺戮の地平」。
 「想師」は第1回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞作、との事。3作とも、SF伝奇モノ、みたいです。

●サイト内小説紹介
 たくさんある中、読んでみたものを簡単に紹介させていただきます。

 「殺人鬼探偵」
 190センチを超える長身。よれよれの礼服に薄汚れたスニーカー。そんないでたちの黒贄礼太郎は、探偵でありながら、殺人鬼だった。

 第1話 ニコニコピザ
 依頼人、榊は娘を暴力団にさらわれたという。さらったのは、如月会。警察に通報すればどうなるか、わかっていた。同じ境遇の事件が過去にもあり、警察に通報した二時間後、誘拐された娘の生首がその自宅に届いたのだ。
 黒贄礼太郎はその依頼を受ける。依頼人にくじ引きをさせると、十九番と七十二番。その番号がふられた凶器を隣室から持って来る。
 そして早速、黒贄は如月会の事務所まで足を運んだ。
 ここから凄まじい殺戮が始まるのだった……。

 怪力で不死身。悪者も一般市民も容赦なく殺しまくる、黒贄礼太郎。妙にトボケたところがあるのも魅力的。もはやスキなし、と言った感じでしょうか。
 簡単に一般市民を殺しスギ。聞き込みの段階で、出会う人間のほぼ全てを殺し尽くすという……。
 こんなメチャクチャな話を書き続けられる作者もスゴイ。ただ黒贄礼太郎があれだけやっといて、警察に捕まらないのはどうか、と。まぁリアリティに縛られない小説というのも、楽しいからいいんでしょうけどね。
 スプラッターホラーでありながら、まるでギャグのように軽快に話が進んでいきます。

 第2話 ミキサー
 日本に帰って来た人食い、逆楡。彼は人食い大臣と呼ばれた、人肉嗜好者だった。巨大なミキサーで人を細切れにし、食する。その男の調査を依頼してきたのは、大曲刑事だった。彼の右腕は人工物だ。対戦車砲に体の右半分をやられたらしい。
 七万円で依頼を受け、黒贄は逆楡の元へ。
 捕まり、ミキサーにかけられる黒贄。……彼の運命はいかに?

 第3話 ウェルダン
 その少年はイジメられっこだった。だがある日、不思議なチカラを手に入れる。
 炎だ。彼は念じる事で、発火させる事ができるようになった。そして憎らしい人間達を焼き殺していく。しかもそれは、水や消火剤では消せない炎だった。
 黒贄に依頼して来たのは、エフトル・ラッハートという謎の紳士だった。シルクハットをとってみると、彼の体の中は空洞で、人間ではないのが明らかだった。
 彼は最近この付近で起こっている、放火魔を捕らえてほしい、というものだった。
 今回の依頼額は二百万か50円。高額をふんだくるのをよしとしない黒贄であったが、二百万の方を選ばざるを得なかった……。

 この辺で黒贄の不死身性、というものが爆発的に描かれていますね。

 第4話 千五百二十七円
 サイコ、千里眼、カポネ、タイタン、サロメ……。彼ら強盗団は、十一歳の少女、三沢優紀子の屋敷を襲い、両親家族、使用人ら全てを皆殺しにした。
 復讐に燃える優紀子。警察で対処できないその強盗団をしとめてくれるのは、黒贄礼太郎だと聞かされ、彼女はその事務所に足を運んだ。
 だが。彼女の全財産は、千五百二十七円しかなかった……。

 殺人鬼黒贄と、復讐に燃えるかよわい少女の物語。
 ラストまで、全てがすばらしい出来だったと思いました。これだけ面白いものを読まされては、この「殺人鬼探偵」にハマる人が続出なワケですよ……。

 まだまだ「殺人鬼探偵」は続きます。この後の第五、第六話以降、なんと「U」「V」まであるようで……。

 ●「ずれ」
 滅多に入る事の無かった、死んだ祖母の部屋。ある晩間違えてその部屋のノブを回し、中を見ると、ありえない光景が広がっていた……。
 そして翌日から、世界は変貌しはじめた。

 正統派SFホラーですね。世界が少しづつ変わって行く中、クラスの親友、真田くんだけは変わらずに、冷静に助言をくれる。その辺のアイディアが、さすがプロだなと思いました。(ある時を境に世界が変わって行く、という話は誰でも書けると思うんです。しかし、かなりテキトウな小説になってしまうと思う)

 ……この現実世界は、実は夢なのではないか。人間に意思などというものはあるのか。昨日と今日では、世界が違っていたりしないのだろうか?
 学生時代。そんな事をしきりに考えていた事を思い出しました。

 ●「悪魔の土地」
 平沢は、妻と友人夫婦の四人で、別荘地に向かっていた。別荘を貸してくれたのは、酒場で知り合った男だった。
 しかし。別荘への道は思った以上にけわしく、道の途中にいた偏屈そうな老人に「ここは呪われた土地だ」と言われた。
 それでも、と別荘へ行く四人。かすかな不安もあったが、近くの浜辺などで避暑地気分を満喫する。

 だが。そこで見る夢は悪夢ばかりが続いた。

 主人公、平沢が見る悪夢が伏線のようで伏線にはなっていないのが惜しい。オチもやや強引か。

 ●「ボーダー」
 医師である私は、常に「ボーダー」を意識していた。
 それは正常と狂気との、ぎりぎりの境界か……。それを越えることのないまま、私は日常を歩んでいた。

 ラストでいきなりリアリティが崩壊してしまったのは、勿体無いなぁという気がしました。それだけ、途中までのギリギリ感が良かった。
 別の短編「倦怠感」とかぶる部分もありますね。

 ●「内臓の海」
 僕は「サバ夫」や「長老」など、たくさんの人達とともに、内臓の詰まったプールの中にいる。
 サバ夫は終始泳ぎ続け、長老は内臓を食う事を僕にすすめる。
 ここに入れられた新参者は、内臓を食う事に躊躇(ちゅうちょ)し続けるが、やがて空腹には勝てず、食う事になる。
 そしてみんな、死んでいく……。

 SFホラー。オリジナルの世界を描き、短くまとめた作品ですね。
 特に仕掛けがあるワケでもなく、流されて終わったような作品ですが、なかなか不思議な世界を堪能できたと思います。

 ●「ゲバッ!」
 笑えます。「空前絶後。ストーリーへの反逆」との事ですが、オチは「核でも落ちたのかなぁ?」と思いきや、オチないんですね……。
 こんな実験小説のようなものを公開してしまう作家さんは……なかなかいらっしゃらないのではないか、と。遊び心のある作家さんですね。

 ●「破滅の夜」
 何と百物語。ちょっと読んでみたんですが、1話ごとに個性的で、しかもかなり短くて読みやすい。すぐ死ぬオチばかりが目立ちますが、なかなかどうして、次々と読み進めていってしまう……。
 ほんと、百話読んだら狂いそうですね。
 しかも「絶望の歌」としてその続編まであるというのだからもう……恐れ入ります。
 まだ全然読んでませんが、百話書いたという事に敬意を表して、赤字でのオススメを。

 セーカー
 僕は警察署内で取り調べを受けている。僕は両目を閉じている。眼を開けたら最後、セーカーが現れて、ここにいる皆を殺してしまうだろう。
 取調べ官は強引に僕の眼を開けようとする。僕は抵抗する。そんな時、少しは話のわかりそうな別の刑事が現れる。
 僕は話をうながされ、どうしてこうなってしまったのかを、また話し出した……。

 ――誰もが同じように、眠そうな、不機嫌そうな顔をしている。皆、人生が楽しくないのだろうか。僕は考える。人生が楽しくないのに、何故生きているのだろう。
 こんな一節があるからこそ、ただの狂気小説群ではないと再確認させられます。
 小説だからこそ表現できる方法(文字を使った)でのどんでん返し?が心地よい。「夢」をリアルに再現するその手腕も見事としか言い様がない。夢が現実に浸食してくるその描き方(教室の戸にチャイムが付いたなど)も、うなる出来だと思います。

 ●倦怠感
 男は毎日、TVで垂れ流されるニュースを目にしている。世の中の狂ったニュースの群れ。それらは洪水のようだ。
 男は淡々と毎日を送り続ける。妻と子供に囲まれ、男は普通の幸せの中、暮らしている……。
 TVで昨日も今日も明日も……狂ったニュースは垂れ流され続ける。
 ニュースはやがて男の神経をむしばんでいき……。

●あとがき

 小説を2〜3読むだけに留めておこうとしましたが、短編モノが多かった事もあり、かなり読みふけってしまっていました。
 「狂気太郎」というペンネームから想像できるように、描いているもののほとんどは、「狂気」に彩られています。幼稚な言葉で短絡的に狂う描写もあれば、世界の狂気に強い意思であらがう描写もあったりする。

 狂気を描きつつも、普通の小説として読み手が理解できて、面白いと思わせるのは、作者が実は冷静に描いているからなのではないか、とやっぱり思ってしまいます。
 狂人が小説を描けば、きっと誰にも理解が不能なものになってしまう。でも狂気太郎さんの小説は、狂ってはいますが、内容はちゃんと理解できる。

 「殺人鬼探偵」に至っては、主人公「黒贄礼太郎」のキャラがあまりにも活き活きとしていて、その描き出す狂気にも魅せられる。SF伝奇モノ?という事もあり、読みやすいし、面白い。各話ごとの個性的なストーリー展開もうならせてくれるデキだと思いました。特に「殺人鬼探偵」4話には胸を突かれましたね〜……。ここで尊敬の度合いがグッと高まりました。よくぞこんな話を描いて下さったものだ、と。
 アニメ化にでもなったらブレイク(問題作?)しそうな作品だと思いましたが。どうでしょうか。てか希望。

 ホント、紹介してくれたサバイバルホラーさんには感謝いたします。紹介してもらわなければ、僕は一生、このサイトの事を知らないままだったと思いますし。
 狂気太郎さんの描く闇は、まだまだ深くて広そうなので、今後もちょくちょくと覗かせていただくつもりです。
 ハマリました……かなり。「殺人鬼探偵」以外の小説も、かなり読ませてくれますので……。


サイト●おもしろフラッシュ総合サイト
 (情報提供: 東京隅っ子さん 2006年 1月)

 URL: http://29g.net/

 ホラー度:さまざま

 (一言説明: サイト内の「ホラー」コンテンツ内に、たくさんのホラーフラッシュが紹介されています。笑える?ドッキリ系が多いのですが、中には名作も)

●はじめに

 ウチの掲示板にて、東京隅っ子さんから情報提供いただきました。ありがとうございます。

 「おもしろフラッシュ総合サイト」さん。ここでは様々なフラッシュを楽しむ事ができます。
 フラッシュというのは、ダウンロードしなくてもブラウザ(Internet Explorerなど)上で楽しめるもので、見るためにはmacromedia FLASHPLAYERなどが必要です。(無料でダウンロードできます)

 このサイトで紹介されているフラッシュの中にはmpeg(ビデオ)形式のものなどもあります。見られないものがあったら、左メニュー内「サイトについて」をご覧ください。プラグイン(フラッシュ作品を見るために必要なもの)のリンクなどがあります。

●サイト概要

 「おすすめ」「笑い」「歌・音楽」「感動」「戦闘」「クール」「ほのぼの」など、独特のジャンル分けでフラッシュが紹介されています。紹介画像をクリックすれば、そのフラッシュページにジャンプします。

 ここで紹介したいのは、その中でももちろん「ホラーフラッシュ」。左メニュー内「ホラー」ですね。
 ホラーフラッシュとして名高い「Bathroom」「こーこはどーこの箱庭じゃ?」「赤い部屋」なども網羅されてありますね。
 その中でいくつか、見たものを紹介していきたいと思います。
 結構、いきなりのドッキリ系が多いので、注意が必要です。(僕も腰が大きくひけてしまうぐらい、びっくりしたものがありましたので……)

 ●Bathroom
 とある蒸し暑い、夏の日の夜。アパートに帰宅した僕は、早速バスルームへと。……しかし、いつもは開けてあるハズのバスタブのカーテンが、その日は閉まっていた。
 何か、嫌な予感がする。そしてカーテンを開けてみると……?

 サウンドノベル形式で、ゲーム感覚で楽しめるフラッシュですね。エンディングもいくつかあり、何度も楽しむ事ができます。
 フラッシュならではの動きが効果的。BGMなどもかなり怖い。シナリオ的には、力技(強引)かと思いますが。
 ●ジングルベルを反対で聴くと・・・
 その旋律がすごく怖いのかな?と思って見入っていると……? これ系は一発芸のようなものですが、見終わった後に笑えるのがいいです。

 ●怖いチャット
 ビール。2人のチャット。ビールのサイトの日記の話題から会話が弾んでいったかと思うと……? 文字と音だけで表現されたホラーフラッシュ。最後の一言がすばらしい。

 肉食さん
 タイトルからしてヤバ系だろうなぁと思いきや、なかなか優れたアニメフラッシュ。軽快なBGMに沿って、肉食さんというものを独特のコミカルさで描いています。こんなホラー表現は初めて見た気がします。正直、圧倒させられました。

 創作という面に於いても、かなり力の入ったフラッシュだと思います。……すごい。
 ●色盲テスト
 健康診断などの時、たまに?色盲テストをされたりしますが、まさにそんな感じのものを見せられます。で、見えた数字を入力していきます。……しかし、テストされていく数字がだんだん見えにくくなっていき……。僕が腰が引けたのは、コレです。

 ●「こーこはどーこの箱庭じゃ?」
 どんなフラッシュかと思いきや、出て来たのは個人サイト。しかも行けば、いきなりキリ番を踏んでしまう。ワケもわからないまま、名前を入力したりします。
 動きのあるサイトで、写真の表示などもキレイ。そして掲示板を覗いてみると、なにやら書き込みが活発。見る間にどんどん書き込みが連なっていきます。……しかし。何やら掲示板ではモメ事が起きています。どうなっていくのか……?
 リアリティがあったりなかったり。素直に見ていけば、楽しめるんでしょうね。僕個人としては、長いので途中で飽きましたが。

 ●ゆかいな間違いさがし7 浜辺編
 ある程度ホラーフラッシュを見ていくと、だいたい想像がつくんですが……。かわいい絵にだまされてはいけません……。作ったのは、ここのサイトの作者さんなんでしょうか? 最後に出てくるURLはここみたいですし……。

 ●フラッシュゲーム1Por2P
 この手のものが多いんですが、笑えます。

 ●Good Intentions
 曲にのせて平和そうな写真が流されていくかと思いきや、その途中で狂っていき……。

 赤い部屋
 ネットサーフィンをしていると、別ウインドウで様々なポップアップ広告が表示される。そんなポップアップ広告の中。絶対に消してはならない、というものがあるらしい……。

 ノベル形式で楽しめますね。丁寧に作られていて、しかも演出がいいです。

 フリーホラーゲームの「赤い部屋」も名作ですが、こちらも名作ホラーフラッシュと言える出来。こういった質の高い、ホラーフラッシュが増えていくのを望むばかりです。

●総評

 やはり、名作とされる「赤い部屋」「Bathroom」などが秀でていますね。
 ビックリ系が結構多い。ホラーフラッシュに慣れてくると、オチがわかってくるだけに、その「だまし絵」がおかしい。
 「肉食さん」はまるでアニメを観ているかのような軽快さ。説明もなく、魅せる事で説得力を感じさせます。

 これらの中で、にじみ出てくるようなスゴイ恐怖、というようなものは感じなかったのですが……、作品ごとに色々な工夫がなされていて、楽しく見る事ができました。
 フラッシュはブラウザ上で気軽に楽しめるのがいいですね。今後も作品が増えていくのを期待します。

 ご紹介いただいた、東京隅っ子さんに感謝です。


ゲーム(PS2)●かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄 ―― チュンソフト

 ホラー度:★★★★☆
 面白さ :★★★★★

 (一言: 動きのあるサウンドノベル。まるで映画を観ているよう。臨場感もバツグン。要所要所の演出も素晴らしく、非常に丁寧に作られている。エンディング数は100を超す)

 注:ホラー度は4としましたが、未プレイのシナリオも多いため、現段階ではそうなりました。(「惨殺篇」というヤバそうなシナリオもあるようなので、多分、5つという事になりそうです)

 中古で安かったので購入してみました。
 ネットでの酷評を以前に目にしていたので、多少不安ながらもプレイ。……でも僕の感想としては、特に酷評するにはあたらない、スゴイ作品だったと思いました。(あまのじゃく気味ですみませんが)
 でも確かに、前作のファンを怒らせるような作りにはなっています。「あれはゲームでした」とハナからオチをつけてしまっているのが、確かにまずかったかも。
 このゲーム、無理に「かまいたちの夜の続編」という事にしなくても良かったんじゃないか、と思いました。

●プレイしてみての感想

 まず、画面に動きがあるんですね。
 湖の水面が揺れたり、人が歩いたり、視点が動いたり。いやいや、そんなものじゃない。ほとんど全編動きまくりだった気がします。
 そして画面、映像の素晴らしさ。
 細かく丁寧に、色々な趣向が取り入れられてあるんですね。ちょっとした動きが心地良い。
 画面の移り変わりも多彩で、読んでいて飽きがきません。これはもうサウンドノベルという域ではないですね。新領域じゃないでしょうか。
 ちょっとした言葉に映像も敏感に反応する感じ(様々な資料のようなものを映し出したり)。感心しまくりです。
 ツボを押さえた演出も素晴らしい。
 時には大胆に動きまくる登場人物達。そしてサウンドノベルの肝である「効果音」が臨場感と興奮を高めます。……まるで映画です。

 ……そう。例えるなら、このゲームは映画です。
 物語も壮大なものになっていますね。やたら壮大すぎる話もあったりしますが。(この辺も好みが分かれるところかもしれません)

●ゲーム内容の紹介

 「わらべ唄篇」「底蟲(むし)村篇」「陰陽(おんみょう)篇」他、とシナリオが大きく分けられていて、まったく違った物語を楽しめるようになっています。ゲームプレイを重ねていけば、どんどん新シナリオが遊べるようになるようです。

 舞台は、離れ小島。三日月の形をした三日月島。そこに鎮座する洋館が一応、舞台のメインとなっています。
 ――前作「かまいたちの夜」はゲームだった。
 そんな出だしで始まります。ちょっと大胆に否定していますが、否定しないと今作を作りにくかったのかもしれません。
 それというのも、前作とは全く異なる物語になっているからです。今回はスケールがやたらとでかい話もあったりして(底蟲村篇など特に)、前作とはまるでつりあいが取れなくなってしまっているようですので。

 それに、今回はサスペンスというより「伝奇ホラー」といった感じがしました。
 民間伝承などの掘り下げに力を入れているようですね。(作家も3名で執筆の模様。ただし、前作を執筆した我孫子武丸さんは監修にまわった模様)
 内容はやたら難しいものがあったりして(「古事記」だの「平家物語」だのの一節が出てきたり)、ちょっと一般向けではないかな、という気がしました。(その辺り、主人公以外はみんなそういうものに詳しい、というのはちょっと場都合的に思えましたが)

 上に挙げた3篇の「完」を一応見終えての感想としては、非常に満足のいく内容でした。
 「公式ガイドブック」を見れば、まだまだ新シナリオがあるようですね。官能度が増したり、恐怖度が増したりと、長く遊べるようです。ただ、おちゃらけたシナリオも多少目につきますね。こういうのはノレなかったら、寒いだけなんですけど。

 注意点としましては、前作とは別物、と割り切って遊んだ方がいいと思います。
 ホント、全くの別物。前作は良質のサスペンスとしての完成度が高かったのですが、今作は謎の無人島で繰り広げられる様々な物語を堪能(たんのう)する、といった具合でしょうか。

 ――わらべ唄になぞって繰り広げられる殺人。犯人は誰なのか?(「わらべ唄篇」)
 ――洋館の当主だった岸猿伊右衛門は風水に通じ、謎の儀式を行っていた。その霊が今夜、宿泊客達を襲う……!(「陰陽篇」)
 ――この島には禁忌の廃村があった。そこに伝わる「不死不老」伝説は、わらべ唄として語り告がれてきた……。(「底蟲村篇」)


 個人的には「底蟲村篇」が良かったです。土蜘蛛(つちぐも)伝説。謎の廃村。付近に群がる、禁断の果実。それを食した者はどうなってしまうのか……?
 あの結末も、うならせてくれます。ホラー作家なら憧れるような、美しく、恐ろしい終わり方で。そして言い様のない胸苦しさ……。こんな物語を書き終えたら、さぞかし満足するんじゃないかな〜と思いました。

 バッドエンドはともかく、完エンドでも、必ずしも救われるとは限らない。やたら明るい終わり方をしないのが、通好みなんじゃないか、と。笑

 ●その他システムなど

 追記としまして、システムの良さも目をひきます。
 シナリオの分岐がフローチャート形式で見られるようになっていて、いつでも好きな所から再開できるんですね。数々のエンディング達成は時間がかかるでしょうけど、この形式に沿ってプレイしていけば、さほど困難ではないかもしれません。
 そして既読の文を読み進めていくのも↓キーを押すだけという手軽さ。非常にプレイしやすくなっています。

 快適に、長く遊べるゲームなのは間違いないでしょう。
 謎の無人島での数々の奇怪な物語を、存分に堪能してください。


 書籍●本当にある「怖い場所」案内 ―― 笠倉出版社

 ホラー度:★★★★★

 (一言: やはり、心霊スポットというものは恐ろしい、と再確認。読んでいるだけで呪われてしまうのではないか、と錯覚するほど、怖い)

 2005年の夏用、として書店に売り出された、心霊スポットガイド。全国、111箇所、地図付き。

 「さとしちゃんの墓」「呪われた河南病院」「呪いの駐車場」「幽霊神社」「死人道峠」などなど、実在する様々な心霊スポットが紹介されてあります。その場の言い伝えや、そこでどんな怪奇現象が目撃されたのか、なども詳しく説明されてあります。
 廃墟、慰霊碑、沼、トンネル、事故現場など場所も多種多様。怖いもの好きなら、読んでてあきません。

 時に、汚してはならない神聖さを感じる場所があり、そしてまた、行っただけで呪われてしまいそうな怨念を感じる場所もある。
 全国にこれだけ多くの心霊スポットがあるのか、と驚いてしまいますが、これもまた氷山の一角に過ぎないのかもしれません。僕の住む岩手県では、本書に1つだけ紹介されていますが、実際にはもっともっと、スポットの話を聞きますのでね……。

 実際にスポットへ行って幽霊に会ってみるもよし(?)、呪われるのが怖いなら、この本をただ読むだけにするもよし。いちがいに「幽霊」と言っても、それもまた多種多様なんだなぁ、と思いました。……ホント、怖くなれる本です。

 他、おまけとして「お祓い」の方法が書かれてあったり、幽霊の声が入っているCDの紹介などもあります。実際に聞く事もできるので、恐怖好きにはお宝情報かも……? 歌そのものの価値を大きく崩してしまいかねない、幽霊の声。僕も昔にそういう曲を聞いた事があるのですが、聞き取れた時のあの不快感はなかなか記憶に残るものがあります。(楽しいハズの歌の中に、いきなり「死ね」などと聴こえたら、そりゃあ怖くもなります……)

 なお、今回は★5つ。読めば読むほど、怖くなりましたので。やはり、実在する、という恐怖にかなうものはないのかもしれません。

 幽霊はいない!といくら断言しても、こういうスポットに行って平気な顔して帰ってこれる人はそうそういない気がします。
 やはり、霊は存在する……?

 この本を読んだ後、きっと否定できなくなっているアナタがいる事でしょう……。


 サイト:死亡事故●労災連(芸能関連労災問題連絡会)

 ホラー度:(創作物ではないので、ホラー度は自粛)


 >サイト: http://www15.ocn.ne.jp/~rousai/index.htm


 目次の中にある、「芸能労災事故例」が恐ろしい。
 過去の芸能人の死亡事故などが、ずらずらっと記載されてあり、読んでいると物凄く怖くなる。

 ――ヒトというものはいかにして死ぬのか。
 恐怖の根源、「死」というものの怖さを、改めて考えさせられるサイトであると思う。

 こういうコーナーで紹介するのは間違っているかも知れませんが、とにかく僕は怖かったので……、あえて。


 TVアニメ●呪いのワンピース ―― 原作マンガ:内田春菊

 ホラー度:★★★☆☆

 (一言: なにしろ、記憶の産物なので……今観たら、全然怖くないかもしれない)


 昔。「笑ウせえるすまん」をTVでやってた頃。夏の怪談スペシャルか何かで、その時間帯、この「呪いのワンピース」がアニメとして、TVで放映されました。今(2003)から……どれぐらい前になるだろう。10年経ったかな?
 はっきり言って、未だその怖さを覚えています。ただ一度観ただけだというのに。
 絵が緻密で雰囲気もバツグンで、非常に怖かったし、演出も迫力があった。3本じたてなんですが……特筆すべきは、3話のラスト。妹が、姉の危険を知り(今日、姉とデートをしているハズの男が、実は先日死んでいた、と聞かされる)、震え上がるシーンが忘れられません……。足元から頭の先まで、ザワッと……。また観てみたい。

 このアニメの事とか、まったく知らないヒトは、マンガで見てください。原作マンガの絵は、そんなには怖くないのですが、ストーリーはアニメのまんまなので。
 このビデオ……実は探してるんです。でも、ないですね。
 もし、運良く見つけた方は、どうぞ、観てみてください。きっと、怖いハズです。

 あ、そうそう変な話ですが、この原作マンガの、他の読みきりの中で、カナエとユキコ、が出てきたりします。……うへぇ。変な偶然。


ゲーム(SFC)●弟切草 ―― チュンソフト

 ホラー度:★★★☆☆(一部のみ★★★★★
 偉大さ :★★★★★

 (一言: ドライブの途中、事故で車が故障。見知らぬ洋館に辿り着いた。しかし、そこはまるでオバケ屋敷だった。/感想: びっくりゲーム。でも、ゲームでこういう演出は、面白い(僕もマネ)。シナリオはあってなきがごとし、のような気もします。なぜかENDの大半は洋館が燃える…)

 言わずと知れた、チュンソフトの大ヒットゲーム、ですね。
 後に「かまいたちの夜」などもありますが、怖さでは「弟切草」には敵わないかも。こっちの方が純粋にホラーっぽい。

 「かまいたち〜」は、作家、我孫子武丸(あびこ たけまる)氏の残酷描写が怖い、と言えば怖かったんですが。なかなか容赦のない描写だった、という記憶があります。

 「弟切草」はとにかく、あの「ミイラばばあの突然の脅かし」がキモ。
 あのショッキングな音と、ばばあの瞬間スクロール……。何度プレイしても、ハズされる事なく、ビビらされましたねぇ……。
 シナリオは大してすごかった記憶はないんですが。ラストはいっつも洋館が燃えて終わり……な気が。

 でもこの作品はサウンドノベルというものの草分け的存在。偉大な発明と言っても差し支えないかも。
 CGの上に文字をのせる、という形の作品がこれ以前にあったかどうかは不明ですが、この「弟切草」がブレイクの要因である事は周知の事実。
 加えてサウンド面もすばらしいものがありました。落雷の迫力。ドアの開け閉めや足音などによる臨場感。おどかし音。場を盛り上げるBGM……。
 とにかく、後のサウンドノベル界?を築いた、偉大な作品、でしょうね。

 (↑)伝説となった?ミイラばばあ



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