<復讐の地獄騎士>


 ……ほうっ? ふむっ!

 今朝のスキップの軽やかさときたら、まるでワイの漢のお背中に、お羽が生えちゃったかのよう。
 すいす〜いピヨ〜ンと、いちいち天高く舞い上がっちゃって困りんぼ。

 「はぐぉおおおおっ!!」

 とは決して、はぐ男さんにさぶ愛を打ち明けたばかりの、漢のハッスル興奮しきったエグい叫び……、ではなく。
 飛び上がったひょうしに電線に引っかかっちゃって、100万Vぎみの感電をしちゃった、おちゃめな私めのゆかいでやんちゃな悲鳴、なのですな。

 「誰だ、俺を呼んだのは!!」

 ししししまった! 本物のはぐ男さんが登場! 超・筋肉もりもりのすっ裸で、赤いふんどしを一丁。
 そしてラジカセのボタンを押すやいなや、「兄弟●船」を歌いだしたではないか!! キャアアアアッ!!
 「さぁ、来い!! 突き出せぇ!!」

 しかし。ワイはものスッゴ危険を感じすぎて、高速マッハでひたすらにあたふたと逃げた。


 ……はぁはぁ。朝から体力の消耗(しょうもう)がやたら激しい日です。
 ところで申し遅れました。ワイの名前は……

 え〜と。何でしたっけ?
 もも助……ケンジッパーZ……さぶそん博士……鼻もげら息すうはあ衛門……そのどれでもない。むむぅううっ!

 最近物忘れが激(はげ)ちゃんで、まったくもっていかんです。
 こうなったらもう、いつも通り「シンイリ」でいいです。

 ……あぁ、そういうやり投げな態度はいかんですね。
 じゃあ心の中で「あなたのハートを盗んだ漢・シンイリ」とか「あなたのパンティラ高く買います・シンイリ」とか、
 「漢の中の漢の中の漢を突きまくる??漢・ハンターシンイリ」とか。

 そういう塩味の効いた、イカしぎみのサブタイトルのついた名前で、ご自由にお呼び下さいませ……。

 ●

 さぁ、前置きはこのくらいにして。学校が見えて参りました。

 あぁ。何だか、やたら不吉ぎみな光景。
 学校の周囲にだけ、黒々とした暗雲が立ち込めておます。
 てか、校舎半分くらい、雲に飲まれちゃっているようにも見えますが……大丈夫なんでしょうか?

 触らぬ神にたたりなし。触らぬお尻にチカンなし。
 今日はこのまま家まで引き返して、色んな味のうまい棒を立て続けに2時間、踊りながら食いまくるパーティでもしますかね。たまに来るチョコのヤツがまた美味いんだ……。ごくっ! たたたたまらんちん!
 まぁアレをやると、今度はお尻から7色のうまい棒が出て来る……という怪奇な現象も体験できちゃうんですけどね。はぁい。

 いやいや、いかん!
 真の漢(おとこ)というものは、どんな理由があろうとも、決して、学校をサボちゃんしてはいけない食い物なのであります!!

 この前なんか、風邪引いて熱が44度あって、しかも前日に足を複雑骨折して、なおその日は100年に1度くらいあるかないかの猛烈なゲリちゃんまん現象が腹の底でものズッゴな雷をお撃ちになるという、超・爆・だ〜い災難の日でしたが……この漢は見事、丸一日耐え抜いてみせましたからねぇ!
 耐えたついでにサービス残業3時間、までしちゃいましたから! おほほほほ。
 でも、ほんのちょっとだけ! やっぱりモラしちゃいましたけどね!! キャ!


 ……そう。私めはあの日から、真の漢になれた、というワケなのであります。
 何かこう……どこかの皮がやっとの事でむけた、という感じデスネ。

 全国つつうらうらの、やんちゃで元気すぎる女子高生の皆様。おわかり、いえおかわりいただけたでありましょうか?
 ワイにそのくつ下を……

 いえいえ! 何でもございませぬぞ! 何でも!!
 女子高生の生下着とか、女子高生そのものより、ワイはくつ下の方がいい! などと、一体、いつ申したというのか!!


 ……え? それが健全なんですか? あぁやっぱりそうでしたか。おぉ……。
 だって、くつ下は逆らいませんからね。それに下着だと、つい着けてしまってそのまま外に出歩きたくなってしまいますし。えぇ。

 ほお? お前さまもそうでしたか! やっぱり!!
 まったくして、健全、というのはすがすがしい事ですなぁ……!

 ●

 さて。ワイは回転しながら校舎に入り、回転しながら廊下を抜ける。
 誰かにぶつかっちゃってリンチにされちゃったり、誰かの何かをもんじゃって警察を呼ばれたりしながらも、この漢は何とか無事に、教室までたどり着いただわさ。

 「皆さま、おはようござ〜い!」
 「キャーーッ!!」

 おぉ、間違った。ここは女子更衣室であったか! 失敬しっけい。
 いやぁ……、フルカラーでお伝えできないのが、真に残念!! 惜しい事をしましたなぁ、お前さまは。
 それにしてもあの発育ぶりは……このパパりんには、刺激的すぎてもう……あうっ!

 さて。見事、くつ下をゲットした私めが真に向かうべき所は、校舎1階の東側奥にある、部室。
 ……そう、あの名高き「地獄探偵部」の部室なのでありま〜す。パチパチパチ。

 謎が多すぎる、部長の白目さまをはじめとして、最近冷たいとウワサの美しきハルマゲドンヒロイン、ペンさま。
 ちょっと乱暴でちんちくりんぎみだけど、天然パーマっぽいもっさりした赤毛がステキなアンジェさま。
 あとは……誰かいましたかね。
 何かでっかい大仏さまのようなヤツがいたような気もしますが……まったくもって、気のせいですかね。はぁい。


 ドガッ! ゴガッ!

 そんないきなりの轟音(ごうおん)にワイはちょっとだけ……(正確には32cmぐらいですかね)、キョドる。
 廊下の先から、何かが駆けて来ます!

 真っ黒い何か。それが派手な音と共に、荒々しく、こっちに向かって来ます!!
 誰でしょう? 部長さまたちでもないし……アナコンダ・もり子でもない。見た事ないような感じのものが、猛烈かかんに駆けて来ます!

 「いかん!!」
 ワイはとっさに(わざわざぎみに)女子更衣室までぴゅいーんと駆けていき、その中に逃げようとする! ここは命に関わる事なので、かなりOKでしょう!
 と思ったけど、戸が、あかあかあか開かない! カギをがっちりふんぬりとぉ、かけられているようでおますーーっ!!

 「何たる腐女子(ふじょし)どもだああっ! パパりんは悲しくてたまらんぞぉおお!! そして見たくてたまらんぞぉおお!!」
 しかして応答はない。ケェエッ! まったく近頃の女子高生と来たらもうホンットに……


 どぉこもかしこも、うンまそうでたぁまりませんねぇ!! うっひょう!

 ●

 >さぁ、ぷりぷり王子よ。どうする?!

 戦う
 逃げる
 パンモンす音頭を半ケツで踊る  
 ノリノリで「キューティハニオ節」を熱唱する
 

 ……とか、思わず選択肢を出しちゃっても、これは1本道の小説なので、効きません!

 あぁあ、廊下の先から、でかいのが来てます! 馬ですね、あれは。……真っ黒くてたくましい、お前さまの馬!! キャ!
 しかも馬の上には、何かゴツイのが乗ってます! あれは「北斗の拳(こぶし)」に出て来る、ラ王でしょうか?! こんな所に友情出演ですかあぁ?! ありえません!!

 ドガッ! ゴガッ! ゴガッ!

 馬のひづめの音がせまる!! てか、もはやつぶされる勢い!! たまたまさまだけは守らんとイカン!!

 「ヒヒィイイイイン!」
 馬はいななき、豪快に前足を宙にまたたかせて、僕さまの前で急停止した。
 馬には、真っ黒い剣士みたいのが乗ってマス。
 ソイツがいきなり、僕さまの前に剣を突き出した!

 僕さまはもう、おそろしゅうておそろしゅうて……。
 ――モラしてヨシ!
 そんな神たまの甘ぁいお声にしたがってしまいそうになりながらも……、ワイは漢(おとこ)なので耐える。
 そう。こんな時こそ、漢として、わんだプリッ茶を残像つきのゆうがな手つきで注ぎ、ぐいっと飲んだのであります茶。

 「悪魔の臭いがするな。お前も、あの中途ハンパな悪魔どもの仲間か?」
 いか臭い……じゃなくていかつい真っ黒なヨロイを着た剣士は、僕にそう聞いてくる。

 「知らんぷー! ワイこそは、永遠に無実なのじゃ!」
 そう答えた時、スバ、と湯のみが切られた。

 見事な切り口。ワイは感心したけど……、泣いた。

 何故って? この湯のみは、さざ波明日次郎のサイン入りの激レア湯のみだったからに他ならない……。
 すまない、明日次郎ッ!!
 明日の希望こそが欲望なんだという事を、このワイに教えてくれたビッグな漢だったのに……。

 ●

 「カタキ討ちをしに来たのはいいが……、何だこの狭っ苦しい所は? 天井もやたら低いではないか!」
 真っ黒な剣士は何故か天井にお怒りのご様子で、剣で突きまくる。そしたら、大きな穴ができてしまった。

 ワイはその剣士の頭に、タライがご〜んと落ちてくる瞬間を今かいまかと待ちわびたが……、ムダだった。
 気の効いたヤツが、その辺に一人ぐらいいてもいいのに……。

 「パンチラ!」と言って、「ほいやぁ!」と見せてくれる女子高生が、全国に一人ぐらいいてもいいのに……。
 でも、可愛い子限定で。

 「え〜と。……カタキ討ちに来た、とな?」
 そんな単語に今更ながらピクんッと反応する。ワイの漢の証明書もピクりんッ……と。えぇ。

 「まぁお前には関係なかろう」
 真っ黒い剣士は、馬のおケツをムチでピシリと叩く。痛・気持ち良さそうで、ワイの目が釘づけに。
 「フギヒィィンン!」
 お馬さまはやはり、気持ちよさげないなななき?を上げ、背に乗せた剣士と共に、豪快に廊下を駆けて行くのであった……。


 「やべ……あれカッコいい。欲しいなぁ、あれ……」
 ぜひとも、あの剣士――馬に乗るから「騎士」か――をワイの部屋の中央にどーんと飾っておきたいものである……。

 そして夜な夜な、あのひきしまった馬のおケツをムチでピシッと……。
 「フギヒヒィイイン!」
 ……と、僕も一緒になって鳴くのである。怪しくて、甘い夜になりそうな予感……。

 夜。ベッドの中でダンナを今かいまかと待ちわびる、やんちゃ妻のお気持ちが、今、ワイにも理解できたような気がします。はぁい。

 ●

 「あんた、こんな所で何やってんの?! よく殺されなかったね?」
 ワイワイと寄って来る者ども。アンジェさまを先頭に、白目さまにペンさま。そしてデカぶつ……何ちゃら大将がのしのしと。

 「あのかっちょ良い黒い剣士と馬は……何なんです?」
 ワイはひそかにおならさまをかなりの量、スカしながら、おそるおそる聞く。

 「<地獄騎士>よ。ジエラとビヌーの、忠実なるしもべ。カタキ討ちに来たのよ、地獄から。……ってか、何か臭いわね?」
 アンジェさまはくんくんと鼻をならす。うおっ! ワイの屁がアンジェさまの鼻腔(びこう)からその体内に!

 もはや私めとアンジェさまは、一心同体とあいなりましたワケで……。結婚したようなものです。はぁい。
 「早く来て!!」
 おぉ、思わずやんちゃ妻が入ってしまいました。
 アンジェさまは青ざめて後ずさるんですが、ワイもムーンウォークで後ずさったら、こりゃもうかっこ良すぎて! ほほほ。

 「で、カタキ討ちとな?! こんな朝っぱらから、ですか?!」
 ワイは驚いて、さぶ茶をわざと盛大にこぼす。
 と、そこにペンさまが! あぁ、制服を濡らしてしまったではないか!!

 「アイややや! これは失礼つかみまくった!! ワイってばのぅ、やん茶でお茶めでやんして! さささ、ペンさまや! ワイが責任持って、新しいお服として「名札のついたスクール水着」か「ふんどしバニー衣装」、もしくは「ぶるまあ」なんぞを買ってあげますのでな! その濡れたいやらしい制服は、今すぐここで、ダイタンにガブァッ!とお脱ぎになって下されよ!! さぁ!!」

 フルカラーでなくて、真に申し訳ない!! ハチャー!

 しかして数秒後。
 ワイはなぜか、みっしりとした重いパンチさまを、鼻面に食らっていたというお話でありまして……。ほげっ。

 ●

 「いいわよ! 自分で着替えてくるから!」
 ペンさまはぷんすかして女子更衣室に向かう。
 しかし、そこはいぜんとして中からカギをかけられていて、開かないご様子。ガタガタむなしくなるばかり!

 「プヒーッ!」
 ワイはおかしゅうて、つい笑ってしもうたのですが、その瞬間、ドバギィ!という音がして、戸はむりやり開けられてしまわれた。
 あまりの力で、女子更衣室のカギが吹き飛んだのを、ワイは見てもうた……。
 何もそこまでしなくても……。


 「地獄騎士を追うよ!」
 アンジェさまは駆け出す。
 白目さまとデカブツ……えぇと名前は何だっけ? 大魔王でもないし、やんちゃほげ丸桃介でもないし……えぇと。う〜む。
 そう! 「大魔王氏」でした! でも全くしてどうでもいいお話!

 で。ワイはこそっと、ペンさまがご入室なされた女子更衣室に忍び寄り、聞き耳をそばだてる。

 スルッ……しゃっ……ジィィ……

 おおおおほおっ!!
 これはペンさまが、ななな生着替えをなさっている、生音ですか?! 
 ワイはもうドキドキしちゃって。さらにさらに、耳をそばだてる……。

 「まったくアイツってば……クソね!」

 クソ? ヒロインが今、クソとゆーた?

 「全くしてソイツはいかんぞな、ペンさま!!」
 ワイは訂正を訴えるため、戸を開け放つ。
 ……と、そこには、下着姿のペンさまが!! ととと桃源郷(とうげんきょう)が、今ここに!!

 「開けんな、バカァアアッ!!」
 ペンさまの猛烈なジェットパンチが、床から30度くらいの角度で鋭くわがはいを襲う!

 わがはいはもうさける事もよける事もできず、いたいけなぽんぽんに直撃ぎみに食らう。
 「ハグォオオオオッ!!」

 ……そう。本日2度目のはぐ男。
 ワイはそのまま失神し、BADENDへと……。

 ●

 しかし1本道の小説ゆえ、話はまだ続く。

 どがあっ!
 更衣室の戸が乱暴に閉められると、反対側の戸がガタドギャーッと倒れた。全くして、どこかの古いギャグマンガでも見ているようなあんばいで……。
 しかして、このチャンスを逃す手はない。
 ワイは大きく開け放たれた戸から、中を覗きこむ……。

 その瞬間、鼻面にダブルパンチを食らう。
 おおお奥様、ダブルパンチですよ? これってホント、効きますから!

 「ホラ、行くわよ、ばか!」
 ペンさまは、おまけにペシンとワイのほっぺたに平手打ち。

 しかして! これは嬉しい誤算でした!
 平手打ちって、実は……「萌え」るんですよ! だいたい、どの萌えアニメでも、平手打ちっていうものは出てきますし? 平手打ちされるのは、ワイの長年のあこがれだったものですから……。

 「おありがとう、ペンさまや!!」
 ワイは長年の夢がかない、涙ながらにうったえる。感きわまって、ペンさまのお手を取り、ぺろぺろおっとなめちゃったり?

 そしたらもう、ワイの夢をさらにさらにさらに、何度となく叶えて下さるペンさまがそこにいた……。

 ●

 ドガッドガッドガッ!

 あれ。まぁた地獄騎士とやらが、向こうから突進して参りました!!
 てか、白目さま達が見当たりません。ぱんぱか大将もアンジェさまも、どこで何をやっておわすのか。

 ワイは地獄騎士のまん前に立ちはだかる!
 「来るなら来いッ! ど〜んと来いッ!」
 ここぞ、漢の見せ所! さぁさ、ワイのだ〜い活躍、ペンさまとくとご覧あれ!

 「危ないでしょ、バカッ!!」
 ペンさまはワイの首ねっこを引っつかむ。
 「あ〜れ〜!」

 と、廊下のわきによけたけど、そこに騎士の剣が来る!
 「今ぞ! 真剣・白羽取り!!」
 ワイは両手を差し出す。今ここに、ワイの山ごもり修行、三千年の成果が問われるのか!
 あれはほんと、永久かと思うほど長かったですから……。

 「やめなさいっての!!」
 ペンさまはとっさに廊下の壁に何か描く!
 そしたらば、そこからずわっと何かが飛び出した!

 ガキーン!

 壁から飛び出した何かと、地獄騎士の剣が激しくぶつかる!
 「まぶチイ!」
 ものスッゴな閃光(せんこう)がほとばしり、ワイはあわてふためいて、ペンさまのスカートの下にかかんにもぐりこもうとする!

 しかしてペンさまのガードは鉄のごとくお固く、スカートをつかもうとしたら、即座に強烈なビンタが舞い乱れ飛んでくる春でございまして……。
 ペンさまのしなやかなお手手の動きはまるで、魔術師を見ているかのよう……。

 「ホラッ!」
 その合い間に、ペンさまは手の平に湧いた剣先を騎士に鋭く突き立てるが、騎士の腕で弾かれてしまった。

 で。もし間違ってペンさまの剣先がワイに飛んできたら……、小説と言えども、そこでGAMEOVER必至です。えぇ。

 ●

 「やるな。……ジエラさまとビヌーさまのカタキ、キサマが関わっているものと見た」
 騎士は馬をくるりと旋回(せんかい)させる。てか、こんな狭い廊下で暴れるなっての……。

 「ホラ、逃げるのよ!」
 まぁたワイはペンさまに首ねっこを引っつかまれる。イヤーン。これじゃ、ニャンにゃこ移動の術ではないか!

 「逃がすか!」
 騎士が馬上で剣をふりかざす。

 ペンさまは、自分の手の平にペンで何か描いてます。
 って、あれ? ペンさまが持っているのは、えんぴつじゃなくって、サインペンです。
 という事は……ペンシルっていうあだな、終了です!

 「これでも食らえ!」
 ペンさまのお手手から、でかい剣の先が鋭く伸びて、騎士の顔面に直撃ィイイ!!

 うおおっ! ペンさま、こーんな所(ゲームじゃなくて小説)で大活躍ですかぁ?

 「あの、サイン・ペンさま。実はお強かったんで?」
 「何?」
 ペンさまはキリリとしたお顔で、私めをむんずと引っつかんで、また駆け出す。
 「あ〜れぇえ! 助けてェエエエッ!」
 「助けてやってんのよ!!」
 ドン、と背中を押され、ワイはいきおいづいて前転の姿勢に!

 「そうか! ペンさまはこれを見たかったのか!!」
 ワイは前転で廊下を駆け抜ける! ねぇ、よしおくんも見てる? ヤホー!

 高速回転で廊下を駆け抜けた先、何かを跳ね飛ばした。
 「ぐわあああっ!」
 跳ね飛ばしたのは、何と大魔王氏! おぉ、素晴らしきストレス解消となりました。


 ●

 ドゴ!

 廊下の行き止まりにぶつかって、ワイは反動で廊下を戻る。
 「前転が後転になってしまった!」
 いやぁ、後転でのフルスピードはなかなか難しいし、実に不自然であります。
 しかしワイは漢ゆえ、後転を止める事なく、廊下を駆け戻る!

 と、そこに待ち構えていたのは、地獄騎士!

 「何だかわからんヤツだが……ぶった切ってくれる!」
 シャキッと剣の音がする。

 あわわ、ワイは後転したままムザンに切られてしまうのか!
 いかん! ここで選択肢をど〜ぞ!


 >どうする?!

 白目部長に助けを求める
 みそをなめる 
 よしおくんに助けを求める

 ●

 ……よし、ここは3番! よしおくんに助けを求める事に!

 「よしおくん、ワイをお助けあれーーーっ!!」
 ワイの必死の叫びを聞き入れたのか、そこによしおくんが登場!! 掲示板からの友情出演であります!

 「地獄探偵団の新作はまだですかああああー! まだですかー! あああああ!」
 と、ひえ〜! よしおくんのせっかち攻撃がそこに! 
 「超・まだです! すみません!!」
 と、何故かワイが謝る事に!!

 すると、よしおくんはぷいっと消え去ってしまった!
 「えぇええっ! すみませぇえん! 見捨てないでーー!!」

 「ホントに世話の焼ける……!」
 ズカズカ跳ね飛んで来たペンさまのお言葉を聞いたかと思うと、わき腹にものスッゴな衝撃が!
 「うごああああっ!!」
 ワイはふっ飛ばされて、廊下の壁にぶち当たり、反動で跳ね返る!
 あぁ、ワイの後転を止めて下さったのか。愛のムチですな。

 「ああっ!」
 そこにペンさまが!!

 ドシ〜ン!
 と、ぶつかったそのコンマ何秒かの激チャンスな瞬間を、この私めは逃さなかった!

 ペンさまのやわらかい所に素早く触れ、もんだり触ったり、んもうし放題!! うっひょおおおおっ!!

 ドガ!
 廊下にぶつかったが、ワイはペンさまをかばう。つーか、たまたまです。

 「大丈夫か、姫……」
 ワイの腕の中で、ペンさまのお顔がみるみる赤く染まる。
 おぉ……これって実は、神展開?! うっひょおおおっ!

 「てかさ。何でアタシの耳たぶ触りまくったの?」
 「耳たぶぅううううっとな!!」

 どうりでやわらかすぎると思った! 糸冬 了!

 ●

 「お〜い、生きてるかぁ?」
 白目さま達が廊下の向こうから来る。

 「生きてます! ペンさまの耳たぶも、ものスッゴおいしかったです! ちょっと塩味が効いてて、おかずにちょうどよ……」
 言い終わらない内に、ワイはぽんぽんにペンさまのひざ蹴りをドゴオッ!と食らう。
 この人、素手でも地獄騎士より強いんじゃ……。つか、股間にヒットしてたら、ワイ、間違いなく氏んでたかと……。

 「オウ、地獄騎士。その馬から引きずり下ろしてやるぜ」
 そこにずいと出て来たのが、大魔王氏。ケンPロウみたいに、指をポキポキ鳴らしてます。

 くそぉ……。ワイも指ポキぐらいやってやる!

 ボギィイイイッ!!

 「ポギヒィイイイイッ!!」
 関節じゃないところがボッキリと……あうあう。

 あ。友情出演のよしおくんが、まだその辺をうろついています。
 「地獄騎士? かっけぇなー……」
 何とよしおくん、馬にエサを与えています! すげえ……。

 「よしおくん? そのエサ、何?」
 「え? その辺に生えてた雑草だけど。馬なら食うかなって思って」

 ヒヒィイイイン!!

 怒った馬。よしおくんはどごおっ!と蹴り飛ばされる!

 「よしおくぅうううん!!」

 部室の方にごろごろすっ飛ばされて、ああ、地獄の穴に突入されてしまいましたけど……。
 てか、友情出演の方をこんな目に合わせていいんですか……?

 ●

 「キサマか? ジエラさまとビヌーさまのカタキは?!」
 地獄騎士は大魔王氏に剣先を突きつける。
 「その通りだ。かかって来いよ」
 大魔王氏はニヤニヤ笑って、構えをとる。

 「よかろう」
 地獄騎士は剣を構え直す。てか、あくまで馬から下りないで戦うつもりなんですかね。
 こんな狭いところで、2人ともよくやるもんだ。ワイは股間から取り出した大画面TVで、ニュース速報を見始めた。

 「何だ、それは?」
 地獄騎士がワイのTVに興味を示した模様。
 「いえ、何でもございません。ささ、私に構わず、戦いをおっぱじめなさって下さい」

 チャンネルを変えるとAVが。
 「いや〜ん、あは〜ん! そこぉお!」
 ここここりゃスゴイ! ごくっ……。

 「何だ、それは?」
 後ろを見ると、まだ地獄騎士がワイのTVに興味しんしんな模様。
 「日本人になると、イコールおたくとなり、こういうものを朝から晩まで好き放題見られるんですよ。日本人、いいでしょ?」

 「いや、その……クソッ」
 騎士は何故か馬の顔を叩く。おぉ、馬もTVに釘付けであったか。

 てか……大魔王氏までマヌケ面下げて、ワイのTVに見入っているとは……。

 もしかして日本のAVって、戦争を防ぐぐらいのチカラがあるんじゃないですか?

 ●

 ドガァアアッ!!

 いきなり地獄騎士がふっ飛ぶ。
 大魔王氏がタックルをかけたらしい。
 「カタキ討ちのさいちゅうに、よそ見するバカがあるかよ!」

 ……実に得意気です。
 ヒキョウにも、フイを突いただけなのに。
 やはりヤツは漢らしくありません! ただ図体がでかいというだけです!

 廊下の向こうで、馬から落ちた騎士が起き上がる。
 「この程度、何という事はない。行くぞ!」
 騎士は馬を捨て、駆け出して来た! マントがなびく。重い空気が場を荒らす。

 「ウォアアアアアッ!!」
 大魔王氏もそこに正面から突っ込む。てかこの人、何か武器ないんですか?
 「誰も邪魔するなよぉおおっ!!」
 大魔王氏と地獄騎士が正面からぶつかりあう!

 しかしどう見ても、ヨロイを着て、剣を持った騎士の方が有利だ!

 地獄騎士の剣がうなる!
 大魔王氏はよけるのか?! よけられるのか?!

 ドガァアッ!

 まさか! 何と大魔王氏は、腕でその剣を止めたあああっ!!
 左腕に刺さった剣。しかし、その腕は折れても負けてもいない!

 「こちとら、並の人間じゃねぇ事ぐらい、わかってんだろうがぁああっ!!」
 空いた右手の拳がうなる。
 「グォオオオッ!」
 それが騎士の胸元に叩き込まれた。えぇ〜……?

 ●

 なかなかな迫力。ワイもTVを消して、大魔王氏と地獄騎士のバトルに見入る。

 「アタシも戦いたぁあい!!」
 アンジェさまが大魔王氏の後ろでうずうずしています。
 「冗談じゃねぇえ! だったら俺がやられてからにしろ!」
 大魔王氏は場をゆずらない。まぁ……せっかくの見せ所ですもんね。せいぜい目立ちたいでしょうし……。

 「ほげもん茶!」
 ワイも急に目立ちたくなって、茶を取り出して、飲む。
 「うまい」
 お茶うけには、おもち。
 「うまい!」

 その辺にいる皆の視線が、イッキにワイに注がれる。
 みんなもおもち……好きなのかな?

 「どりゃああっ!!」
 大魔王氏がまぁたフイを突いて、騎士をぶん殴って倒す。
 ひざをついたが、騎士はすぐに起き上がる。
 「ここは狭すぎる」

 「じゃあ、表に出ろや」
 大魔王氏は廊下の窓ガラスを指差す。
 「よかろう」

 そして2人そろって、窓ガラスをぶち破って外に出た。
 てか、ガラスぐらい開けて出なさいってのに! 服を脱がないでいちいち破るケンPロウじゃないんですから……。

 「アタシも行こ」
 アンジェさまも割れた窓からピョ〜ンと外に出る。
 その時、見事にもダイタンなパンチラがそこに披露(ひろう)され、ワイは取り出したケータイで素早く激写!!
 360枚ほど、色んなアングルで撮る事ができました! さ〜いこうッ!

 「何やってんの……?」
 ペンさまの白い視線が突き刺さりましたが、ワイはごまかすため、両手をつかんで握手! さらにペロッ!

 バシ!
 その瞬間、両手をふりほどかれて、左右同時の平手打ち。
 一瞬、左右のほっぺたが口の中でぶつかりました……。

 ●

 ふと後ろを振り向けば、騎士に忘れ去られた馬がぽつねんと……。
 何をするでもなく、ただ立ちんぼしてますけどね……。

 そしたらば! 部室わきの地獄の穴から、這い出てきたものが!
 「よしおくんではないか!!」
 ワイはよしおくんの元に。

 廊下を這いながら、よしおくんは手を伸ばしてくる。
 「まだ……ですか?」
 「何が?」

 「だから、地獄探偵団の新作は……まだですかぁあああぁぁ?」
 「全然まだです」
 ワイは真実を告げる。

 ガクッ。
 あぁ、よしおくんは力尽きてしまわれた。

 その手には何だかわからない草が握られていた。
 おぉ。よしおくんは、これを馬に食べさせようと……。

 「よし! その大役はこのワイが引き受けたぞ!」
 よしおくんから草を奪い……いえ、もらい受けて、ワイは馬に草を与えた。

 もぐもぐっ……。

 その目がみるみる輝きに満ちる。
 そうか。これはよしおくんが命がけで?地獄から取ってきたもの。馬のお口に合ったのかもしれない。

 ドガアアッ!!

 何と馬は廊下に激突したかと思うと、その壁をぶち破った! なんたる馬力!
 ……しかし、突入したのは教室。
 馬は机やらイスやらを押し倒して、首をかしげてぶるぶる言ってます。ここはどこ、という感じでしょうか。

 「すみません、黒王……じゃなくって、そこのお馬さん! アンタの飼い主は、反対側の方! 窓を突き破って、外に出ましたんで!」

 ドゴォオオッ!

 またも体当たりで壁をぶち破る。
 ……まぁ馬ですから。しょうがないですね。

 ●

 空いた穴から僕も外に出てみる。

 校舎前。あぁ、大魔王氏が、血まみれで地べたで寝転んでおます。
 やっぱり予想通り、ヤラレたんですね。ヤラレキャラなんだと、ハナから私、わかってましたから。

 そばにはペンさまと白目さま。
 アンジェさまはその向こうで、元気いっぱい、地獄騎士と戦っているようでおます。

 あぁ、ギャラリーが大勢出てますね。まぁここ、学校ですからね。

 ワイは……どうしましょうかね。
 この辺で腰を下ろして……茶を一杯。

 「あの……今、どういう状況なんですか?」
 と、よしおくんが、まだそこにいた。
 「え〜と。地獄騎士と戦ってますね」
 ワイは見た通りに言う。

 「あの赤毛の子は……アンジェちゃん、でしたっけ?」
 「そうです。よぉく見ておきなされよ? ほぉれ、今、パンティラを……」

 チラッ!

 「やたっ!」
 ワイは高速鶴(つる)の舞でアンジェさまの背後に迫る!

 ドガアッ!

 「ひええええっ!」
 地獄騎士にふっ飛ばされる。
 もんどり打って転がってのたうち回ってじだんだふんでシコシコのシコをふんだ後、ペンさまのお元にすさあっと滑り込む。

 ●

 「何か用? 変態くん」
 ペンさまのツンっぽい視線を受ける。

 「……あのその。地獄騎士にヤラレたワイを、今すぐ手厚く介抱(かいほう)せよ!」
 「ふんっ!」
 とペンさまはそっぽを向かれた!

 そこに何と、よしおくんが!
 「あの……はじめまして。僕、よしおです。ペンちゃん、握手してもらっていいですか?」

 「え……まぁ、いいですけど……」
 ペンさまはよしおくんの手を握る。
 「やったーーーっ!! ……ところで、まだ、ですか? 地獄探偵団の新作」
 「まだ、です」
 僕がソッコウで答えると、よしおくんは泣き崩れた。

 「ところでシンイリさん。ちょっとお願いがあるんですけど」
 「なぁに?」
 ワイは礼儀正しく、正座を崩し、女の子座りなんかしちゃう。
 「僕はですね、メールとかしてて、語尾に「ちんちん」ってつけるのがクセなんです。今、駅に着いたちんちん。これからお風呂に入るちんちん、とか。……使ってくれますか?」

 「よかろう!!」
 ワイはよしおくんの額に太鼓判を押す。採用、決定!!
 漢は決して、「恥かしいからヤダ」とか「何か幼稚」だとか、そんなロマンのないセリフは言わないものなのである!!
 ロマンのない漢など……「お茶漬けの元」をかけないお茶漬け、のようなもの。……それはただの、ごはん湯にすぎない!


 そこに馬が来る。
 何をするかと思えば、よしおくんのえり元を噛んで、ひょいっとその背に乗せてしまった。
 そしておもむろにどこかへ向けて走り去った……。
 あの人を誘拐してどうするんだろう……?

 「あぁ、追わなくて……いいのかな?」
 ペンさまは不安げだ。僕も不安になる。
 「何かもう帰って来ないような気が……」

 よしおくん。元気でネ! チュ!

 ●

 ズガッ!

 「あぐうっ!」
 アンジェさまの悲鳴。何が起きたかと思えば……、アンジェさまの足に、地獄騎士の剣が突き刺さっていた。

 「女は殺さん」
 地獄騎士は剣を抜き取る。アンジェさまは足を押さえてうめく。……こりゃもう戦えそうにないです。
 てか、救急車だ!
 ワイはケータイで救急車を呼ぶ! 確か番号は……?

 >どうする?

 666にかける
 875にかける
 777にかける


 え〜と。ここは2番が正解でしょうか!

 「もしもし!」
 『ギシシシシ……。食われたいのか、オマエも……?』

 「あの……どちらさまですか?」
 『言わなくてもわかるだろう……』
 「わかりません」

 『じゃあ教えてやろう。……花子、だ』
 「花子って?」
 『わからんヤツだな、オマエも! トイレの花子さんって……どこでも聞く話だろうが!』

 「トイレ? じゃあ電話は? トイレに電話があるんですか? それともまさかケータイをお持ちで?」
 『ウ・ググうッ?!』

 ツーツーツー……

 電話が切れてしまった。

 ●

 「患者はどこですか!!」

 いきなり救急隊員が突入!!
 「オマエですね! いざ!」
 ヤツラは健全な性少年であるこの私めを、むりやり救急車に詰め込もうとする!

 「ワイは今ここで、5000mLぐらい献血できるぐらい健康なのです茶! 患者は……」
 「じゃあ今スグ献血を!!」
 ヤツラは瞬時に献血セットをどじゃーんと用意して、このワイの健康な血液を吸い取りにかかる!
 「ぎゃあああああっ!!」
 「ほんに、健康そうで!」

 血を思うさま抜かれてふらふらになったワイ。
 そこにひらひらしたものが。顔を上げれば、ペンさまのスカートなり……。
 「今こそ、ワイを誠心誠意(せいしんせいい)、助けるのだ。ペンさまよ……!」

 「アンタ、血の気が多いからね。血液9割ぐらい抜かれてしまえば良かったのに」
 「いや、多分、そのくらい抜かれたような気がするんですけど……」
 あの救急隊員。ギャグっ気の混じったとんでもキャラだったのが運の尽き、か……。

 ワイはふらふらとしながら、茶を用意し、すする。 
 「ふ・ぶおおおおっ!!」
 しまった!!
 これは、まろやかなもそV茶ならぬ、まぼA茶だった! コイツはいかん!! 今晩、あそこが3倍くらいにハレてまうぞ!!

 「アンタはまたしても……」
 おぉ。ペンさまの制服に茶をぶちまけてしまったぞな。
 「もう替えの制服ないんだけど!」
 「じゃあ、プリッとしたブルマアにでも着替えればよいではないか!!」

 バシーン!

 またも平手打ち。
 いやぁ……焼きいもがおいしい季節ですよ……。たぶん。

 ●

 「待ちなって……」
 救急隊員を押し退け、アンジェさまが地獄騎士に向き直る。
 「アンタのカタキ討ちの相手なら、アタシだよ」

 「まさかオマエが……?」
 地獄騎士もアンジェさまに向き直る。

 「あぁ。アタシが、オマエの主人のジエラたちを殺したんだよ。何にも知らないで、ここまでのこのこ来たのかい?」
 「まぁな。しかし……お前がそれほど強いようには、見えないんだがな」

 「じゃあ今から教えてやる。<地獄姫>のチカラをな!」
 「何? <地獄姫>……?」
 地獄騎士が思わぬ反応をする。

 アンジェさまの傷がみるみるおかしな形に赤黒くなっていく。
 それは奇怪な触手のように変形してしまった!

 イヤアアアアッ!! これってそんなグロテスクなマンガだったのぉおおおっ?!

 「アタシはねぇ、不死身なんだよ。逆に受けた傷のぶんだけ、強くなっちまう。アタシを殺す事は、誰にもできないんだ」
 「その辺にしとけぇ、アンジェ」
 そこに出て来たのは、白目部長!!
 待ってました!! さぁすが部長! 影が薄いフリして、ものスッゴおいしいトコだけかっさらおうとするとは、んもう、ニクイ!

 「オマエが不死身って言ったって、無理をすれば意識戻らなくなるだろぅ? 身体に精神力がまだまだついていかないんだ。今はムリすんなぁ」
 「大丈夫だって!! アタシにやらせてよ!」
 「そんな触手、ただのこけおどしだろぉ? 俺にだってもぎとれそうだ」
 白目部長はアンジェさまの足から出た、赤い触手をつかんで引っ張る。

 「いたたたたっ! わかったわかった! やめてよ!! ……ちょっと休みますってば!」
 どうやらアンジェさまは身を引くようだ。

 「わかればいい。はははぁ」
 白目部長は静かに笑って、そして地獄騎士の前に進んでいった。

 ●

 校舎前。黒いヨロイに身を包んだ、異彩を放つ黒い騎士――地獄騎士。
 その前に、我らがヒーロー、白目部長さまが立ちはだかる!

 「ジエラを殺したのはアンジェだけど、妹のビヌーを殺したのは俺なんだなぁ」
 白目さまは挑発(ちょうはつ)とばかりに、得意気に言う。

 「そうか。ビヌーさまのカタキがオマエか」
 地獄騎士は剣を両手で構える。
 「じゃあ、オマエからカタをつけてやろう」

 「つけられるかぁ? お前ごときにさぁ?」
 白目さんは何と、地獄騎士を「お前」呼ばわり!! ひゃほー!

 次の瞬間、騎士が大きく剣をふるった。
 白目さんは軽く跳ねた程度でかわす。
 ……うおあっ、ひそかにスゲエですよ! 大きくかわすんじゃなく、ムダなくスキなくギリギリでかわす、ってのもまた難しいと思うんで!

 「そらよ!」
 白目さんは着地する前に、騎士に何かを投げつける。
 「ウオオッ!」
 騎士の顔面にガツガツと何かが当たる。石、ですね。

 「はははぁ。お前、スキだらけじゃないかぁ? ホントに強ぇのかよぉ?」
 「やかましいッ!」
 騎士は剣をめちゃくちゃにふるって、白目さまに突進する。
 
 「白目さん、危ないッ!」
 ペンちゃんの叫びが何なのか、と思えば、そこにさっきの黒王……ならぬ、よしおくんの草を食った馬が猛然と駆けて来たではないか!

 白目さま目がけ、騎士と馬が同時に突っ込む……!

 その瞬間、白目さんは華麗に宙を舞った。
 騎士が、馬にぶつかりそうになって体勢を引く。と、その先には、馬にまたがって駆けていく白目さんがいた。
 「何だよ、こんな事するつもりなんかなかったのによぉ……」

 そのさっそうとしたお姿を見るや、ワイは感激の涙があふれ出てしまった。
 そして、そこにあったスカートのすそで涙をふこうとしたのであるが、涙はビビビンタによって弾き飛ばされたのであった……。

 ●

 馬は派手に暴れて、白目さんはすいっと飛び降りる。

 「大魔王〜、そろそろ決着つけるぞぉ? 騎士と正面からやってみろよぉ?」
 その声を聞いた血まみれ大魔王氏がムクリと起き上がる。コヤツ、なかなかにしぶとい男である。

 「アイヤー! 主人公のワイを忘れちゃいかんアルね! ワイこそ、地獄騎士を倒すにふさわしき漢! すべてをワイにまかせるが大吉!」
 ここぞとばかりに、ワイはペンさまのスカートをガブァッと……。


 ……その後、数分間の記憶がございません。
 ただひたすらに、冷たく暗かったような気がします。


 大魔王氏と地獄騎士の一騎打ち……。 
 「力くらべだ。剣を捨てな」
 大魔王氏の挑発。てか、今日は皆さん挑発しまくりの日です。
 じゃあ、ワイも。
 「ペン! 結婚だ!」
 そしてカモンなポーズを取るが、表情一つ変えずのものスッゴな無視をされ、ワイはとうとう……泣いた。

 「力くらべだと? そのような事をする必要はない。俺はただ、ジエラさまとビヌーさまのカタキ討ちに来たのだ!」
 騎士の背に忍び寄る赤い影。
 ドゴオッ!
 騎士の腕に、見事なかかと落としが決まった!

 ガシャーッと剣が地に落ちる。すかさずアンジェさまが拾い上げ、そそくさと逃げ出した。
 あぜんとする地獄騎士……。

 あの、ここは私、笑っていいシーンなんでしょうか? ぷひィー!

 「うわははは! 力くらべするしかなくなったなぁ! やろうぜ、おい!」
 と大魔王氏。
 地獄騎士は憤然(ふんぜん)ぎみ。
 「……何だよ、おい? やらないのか?」

 ひえーーっ!
 大魔王氏、今2chでのさぶ用語「やらないか?」とハッキリ言いましたよねぇ……? ガクプル

 ●

 「よかろう」
 地獄騎士は剣も馬もない、そのヨロイに包まれた身体一つで、大魔王氏と改めて向き合う。
 大魔王氏も、素手。
 そのムダにでかい二人が見つめあうさまを、僕たちはかたずをのんで見守る。
 まぁゆうがなワイだけは、茶も飲んで、しかもたくあんまでかじりながら、見守ってますけどね。ポリピリッ!

 「行くぞぉおおっ!」
 大魔王選手の気合いが炸裂(さくれつ)!
 「来いッ!」
 地獄騎士さまもまた、気合い充分なご様子!

 さて。戦うお二人の気合いを十二分に感じとったところで!
 わがはいもネクタイを締め直し、ついでにふんどしも締め直し、ティンティンもササッと左から右に移動させます! ……いやぁ、さっきからちょっと違和感あったものでねぇ……。
 これで超・スッキリいたしました! 漢のこだわり、というヤツですね。はぁい。

 「さぁ、世紀のだ〜いバトルが始まりました! 地獄探偵部代表、「だ〜い魔王」氏! 対するは復讐するためにわざわざ地獄からやって来たという勇士、「地獄騎士」さまでござ〜い!」

 あれ。
 ……復讐するためにわざわざやって来た?
 それってつまり、かなりの「漢」なんじゃね……?


 「ししし、しまったぁあああっ! 「漢マッスル度」は、地獄騎士さまの方がマンタンです! これにて勝負あった!」
 「何言ってんだよ、てめえ」
 ……と、アンジェさまが脳天にチョップしてくるのを3秒前にわかっていたワイは、華麗なる舞チャンでよける!!

 「つッ・ぎゃぁああああっ!!」

 何たる悲劇!!
 よけるのが素早すぎたため、ワイの一番大事なたまたまたまさまに、アンジェさまの猛烈かかんなチョップが、みっしりと炸裂(さくれつ)してしまったではないか!!

 「えげつねぇもん触らせんな、この変態野郎!!」
 と、アンジェさまが今度はワイのぽんぽんにキックしてくるのを55秒前にわかっていたワイは、華麗なるスーパー前転太郎でよける!!

 「はぅっ・ぎゃぁあああああああッ!!」

 恐るべき悲劇!!
 前転という特殊な状態が生んだ悲劇か! 無防備だったワイの大事すぎる、おケツさまのおごそかな谷間に位置するスーパー穴(ホール)に、アンジェさまの豪快激烈なニードルキックがモロに直撃してしまったのだ!!


 あぁ。……氏をすぐそこに迎えてしまいそうな。
 何もかもが純白で。ステキで清らかな時間。

 そこには何故か、そんな幸せも感じられたのでありました……。

 ●

 え〜。はぷはぷニングのため、放送が一時中断してしまった事をおわびなど申し上げません。

 大丈夫。漢はいざという時のために、ほぉれ! 「痔(ぢ)にはボラギノーノレ」をいつでもかかんに携帯しておったのです!!
 ササッとひと塗り、ハイ爽快! これにて妊娠(にんしん)の危険はご無用となりました。

 ……う!
 ひょぉおおおっ! すううぅぅぅうっとしますなぁ!
 ステキな一日になりそうな、超・予感!!

 「さぁ、大魔王氏と地獄騎士の一騎打ち! 互いに、気合のこもった怒声をぶつけあいまァす! そして早くも、互いの腕が違った形で伸びていく! ……イヤッ! それは何やらイケナちっく! そのおヒゲは超・いやらしいわ、パパ上ッ!! キャビッ!」

 と、アンジェさまのツッコミを0.9999999999999秒前に(byババンバ)察知していた私めは、華麗なる舞チャン音頭体操……

 どす。

 え〜、早い数値のようでしたが、実は遅すぎた模様。
 察知が遅れましたゆえ、素直に頭を叩かれ、痛スギの日となりました。

 実況、命がけで続けます。
 とにかく、ワイのスーパー穴(ホール)に2度の衝撃を許してはなりません。決して!

 「どぉりゃあああっ!!」
 大魔王氏はかがんだかと思うと、そこからイッキに右腕を上に突き出した! いわゆる「アパ・カッ」(アッパーカット)ですね。
 しかし、「あ・パカッ」ともなれば、何だかエロすぎな感じに……。いやぁ、ほんと、日本人は妄想力がたくましすぎていけません。

 地獄騎士は上体をそらしたかと思うと、両腕を伸ばして、大魔王氏のアパ・カッの腕をつかみにかかる……!

 ガシィイイッ!

 「お見事!!」
 おぉ。地獄騎士さまが大物をつかみなさったぞ!
 こりゃあ熟練(じゅくれん)のワザじゃわい。釣バカ3平太もケツ真っ青じゃあ!

 ●

 「ひょっ、ほっ、は? ワイにその大物をご馳走(ちそう)してはくれんかのぉ?」

 どっかのひょっこりじいが出現! 魚が釣れたと思って、七輪とウチワまでご用意とは恐れ入る。
 しかし、現状を見てその顔色が激変した。

 「ケェエエッ! なんじゃなんじゃお前ら! 男同士で抱き合ったり、筋肉自慢しあったり、あんな事したりこ〜んな事までしちゃったり?と気色の悪いやつらじゃわい! ……お前らなんぞはな、腐女子のくそ妄想地獄にでも墜(お)ちるがいい!」
 ひょっこりじいはおまけにぶっとやって、その場をニンニン走りで立ち去ったとな。

 「ぐぅおおおおっ!」
 何だか色々と悔しがって、歯をむく大魔王氏。地獄騎士につかまれた腕も、いまだビクともしない模様!
 ワイが毎朝、ヤクノレトを浴びるほど鼻から飲めば、猛烈に強くなれるぞと、あれほど教えたにも関わらず……。

 「うぉおおおっ!!」
 おぉ、そこに大魔王氏の頭突きが出る!
 それが地獄騎士の胸ぐらにぶち当たったものの、騎士さまはダメージを受けていない模様!!
 地獄騎士さまの強さを見よ!
 この人は、僕の言いつけをしっかりと守っていたのだ! ……いやぁ、スゴイ成果です! 僕さまも明日から、早速始めたいと思います!!

 「こんなものか!」
 地獄騎士は大魔王氏の腕を離すやいなや、大魔王氏の腹めがけて強烈なパンチを叩きこんだ!
 「うぐぉおおおっ!!」
 二転三転。いや、七転八倒。あわれ、大魔王氏は地べたをごろごろ転がって、ぼろぞうきんのように……。

 「何とまぁブザマな事よ……。皆さまや、あの珍妙な踊りを見なさい! 平成の世が始まって以来の、あわれさ。こりゃもう、笑ってあげるしかあるまいて! ぷひひぃ! ぷほほほほぉっ! プススゥゥー!」
 そう心の中で思ったのを、いかなるテレパシーで聞き取ったのか何なのか、大魔王氏の怒りに燃えた赤黒い両眼が、この僕さまに釘付け!
 「クソコゾウ。後で必ずぶち殺す……」

 ひぃぇええええっ!!

 こりゃ大魔王氏にここで氏んでもらう他ありません!
 「フレッフレッ! 地獄騎士! ついでにオケツもかかんにフレッ! 地獄騎士ッ!」

 今度は地獄騎士さまの、無言のどすりとした視線が、このいたいけな僕ちゃまに突き刺さる……。いたたーた!

 ●

 「こりゃー! 戦いのさいちゅうによそ見をするヤツがあるかーーッ!! 先生はそんな、ふんどし姿で世間さまにおケツを丸出しするような、はしたなくてサービス満点盛りのステキな生徒に育てたつもりはないんだぞぉ!」

 ワイはここぞとばかりに吠える。
 同時に大魔王氏と地獄騎士はワイから目をそらし、素直に向き合う。
 うっわ。……素直すぎるヤツって、ほんと気持ちワリい。

 「やりやがるじゃねぇか……地獄騎士よぉ」
 大魔王氏はよろよろと起き上がり、嬉しそうなお顔に。

 ブルッブルッ。
 そこで馬が鼻をならしながら、主人の元へと駆けて来る。
 その背より颯爽(さっそう)駆けて来て、その足を引っつかんだのは、白目さまであった。

 「戦いの邪魔はするなぁ」
 そして馬の足を一息にひねる。
 ズダーン! と馬は横倒しになった。

 えぇえええ〜〜〜っ?!
 白目さまがこんな怪力の持ち主だなんて、アタクシは全く聞いておりませんがな……。


 「ふはははは!!」
 そこで突然、地獄騎士が笑い出した。キモッ!
 「たわむれはその辺にせんか! 我が足となり、この者達を蹴散らせい!!」
 
 ブルルルルッ

 黒い馬がむくりと起き上がる。
 「そうはさせないぜぇ」
 と白目さんが近づくやいなや!

 「ぐぼぉおおおっ!」
 その腹に、馬は強烈な蹴りを食らわせたではないか!

 ●

 「部ッ長!! 大丈夫ですかーー!」
 ワイは一目散に駆けつける。そばにいた、うっとうしいアンジェさまやペンさまをむりやり、おケツにて押しのける!
 そう。友情とは愛情より美しい。これぞ漢の花道なのである。

 「やられた……動けねぇ……」
 白目さまは馬のケリをモロにぽんぽんに食らったようで、動けません。

 ししししまった! ここは千載一遇(せんざいいちぐう)のチャンスなのでは?!
 部長を倒し、ワイが部長となる!
 そして大魔王氏をあごで使い、好きな時に好きなだけ、最近のコンビニの新戦略主力商品である「うまい棒の袋詰め」を買って来させるのだ! 
 さらに! アンジェさまとペンさまを毎晩とっかえひっかえ、もっちりとあれこれしちゃったりな! 「素晴らしき漢の夢ハーレム」をぜがひでも築くのだ! やっほう!


 「何を考えてる?」
 白目さまの白い目が、ワイを疑惑げに見る。
 「ハチャー! いえ、ワイをみくびっては困るでござるござる! 白目さまが弱っている時にヤンチャして倒そう、などと不届きな事を考えるシンイリさまではございませぬぞ! おまかせあれ!」
 あぁ。白目さまの目が白い内は、ワイのハーレムの夢は叶いそうにございません……。


 「ぐわっ!!」
 今度は大魔王氏が、馬をつかまえようとしたが、軽く跳ね飛ばされる。
 やはりヤツは、あぁいうとんまなシーンが似合います。

 「今こそ、地獄騎士と恐れられてきた、俺の本当の力を見せてくれる!」
 と地獄騎士さまは、いきなり気合いたっぷりなご様子!

 「……そうかよ! じゃあ、ワイも真のチカラを見せてくれようぞ!!」

 そう叫んでみたはいいものの、誰一人、僕さまに目もくれないというのは一体どういう嫌がらせなのでありましょうか……。

 ワイは暮れゆく夕陽に背を向け、「ドナドナ」を上低音ともに完璧に歌い分けて歌いきった後、漢の涙をるると流しながら、可哀相な子牛が実は何だかやたらおいしそうに思えてきて、たまらないのであった……。

 ●

 「お前達ハンパものの悪魔どもとは違ってな、俺は地獄で生まれ、地獄で何百年も生きて来た!」

 いきなり地獄騎士さまが吠えたものだから、ワイはビクッとして何かを猛烈にモラしそうになった!
 寸でのところで、蛇口を右から左にキュオッとひねれば、ピタリと止まる! あぁ、漢に生まれて良かった。

 地獄騎士さまはまだ何か言っておます。ワイは光の速度で茶を沸かし、ゆうがにぐっとやる。
 ……んまい。

 「……そ、その間、お前達には想像もつかないほどの戦いを繰り返して来たのだ! その経験が、お前達との決定的な違いを生む!!」

 「そうでっか。それはようござんしたなぁ……」
 と、そこに現れたのは、さらしを巻いた、お龍子姉さま!!  
 「地獄騎士はん? あんさんも、ただのひよっこだわいなぁ? おほほほほ」
 お龍子姉さまが嵐を呼ぶ!!
 「うおおおおっ!」
 さすがの地獄騎士もたじろぐ!

 「さ。疲れたので今日はもう店じまいだわいなぁ。とっとと帰っておくんなせ?」
 「てか、お前が帰れーーーッ!!」
 と、アンジェさまがお龍子姉さまに、何と飛び蹴りを食らわす!!
 何たるバチ当たりなケツッ子じゃああっ!!

 「許さん!! ワイの命のお龍子姉さまを足蹴にするたあ、この江戸っ子金ちゃま&Pさまが全くもってゆるさんぞな!!」
 と、ワイはかかんに飛び出していったのだが、取り出したPさまをアンジェさまに足蹴にされてしまった!!
 「それ、少し気持ちいい!!」

 ワイはもうメロメロになってしまい、アンジェさまのおみ足にすがりつく始末!! あちゃーー!

 「いいかげんにしろ、このクソども!!」
 地獄騎士はいきなり炎に包まれた!!

 「地獄の業火で焼かれて死ねい!!」
 火だるまのまま、突っ込んでくる!!

 ワイはそこらじゅうに落ちているイモを拾い、懸命になって地獄騎士さまに突っ込んだ!!

 「シンイリーーッ!」
 誰がワイを呼んでくれたかは知らんが……決して、イモはやらんぞ!!

 ●

 ぶしゃああああっ!!

 「うわあっ! イモが!!」
 ワイの手の中で、見る間にイモが消し炭になっていく!!
 「イモがぁああああっ!!」
 ワイは悲しゅうて、オイオイと漢泣きをしてしまわれた模様! このどとうの悲しさは、ケント・スミ子の白いTシャツに唐草模様と市松模様を懸命に描いた、富パツ子の悲しさにも匹敵(ひってき)するに違いない!!

 「何で燃えねえんだ、お前は……」
 地獄騎士さまのそんな砕けた一言。
 「イモを返せ!!」
 そういうワイの、泣きっ面に八兵衛状態!! 地獄騎士の剣がワイの頭上にせまる!
 「今ぞ! 真剣白羽……」

 「やめなさいっての! できるワケないでしょ!!」
 ペンさまの叫び。
 しかしもはやワイの勢いは、かのマイケル・NO氏にも止められない!

 「真剣白羽取り……と見せかけて、実は茶を飲む! ……かと思わせて華麗なる舞チャン! の後、4回転半ひねりをくわえて……」
 「うおおおおっ!!」
 地獄騎士がワイの動きに全くついて来れない! これはイケる!

 「さらに高速でペンさまのスカートをめくり!」
 「キャアアアアッ!!」
 予想外の出来事に、ペンさまもあわてふためく。ワイは30mもひとっ飛びですから!

 「さらにさらに! アンジェさまの時代遅れのルーズソックスを脱がす!! キャアアッ! これって、超・やらしスギ!!」
 「ギャアアアアッ!! 気持ち悪い事すんなぁあああ!!」
 しかし、アンジェさまの高速のパンチも、ワイの電光石火のほとばしりには全くかなわない!

 「なおついでに大魔王氏のサイフから、なけなしの300円ほどをかすめ取り! ……と思ったら、どこのお守りだよ、これはああ!」
 「この野郎!! 当たると評判の黄金競馬神社で買ったお守りを返せぇええ!!」

 ……どこのインチキ神社ですか、それは。

 ●

 「そしてなお、ヤンチャなワイは、白目さまにまでイタズラしちゃうんですかぁ?! うひょほほほぉおおおっ!」
 もうワイはノリノリで誰にも止められない!!

 「シンイリ。俺に何かやったら……コロす」

 「ひぇええええっ!! それ、マジでぶっ怖いですからぁあああ! 指一本、絶対に触れません!!」
 「わかればいい」
 白目さまは遠くで冷ややかに立っているだけなのに。
 全くして怖いお方である……。

 「代わりにペンさまのイケない所でも押しちゃおうかなぁ〜?」
 光の速さについてこれる者などいない。
 ペンさまの、ぼそりとしたつぶやきが聞こえる。
 「つーか、そのまま地獄騎士に突っ込んで自爆でもしちゃってよ……」

 「そんな事言うから、僕ちゃん怒った!! いくぞぉおおおっ!!」
 「やめろおおおおっ!! 絶対にやめろおおおおおおおおおっ!!」
 ペンさまのメガトン級おパンチが勝つか、ワイの華麗なるスパイラル押しが勝つのか……?!
 ものスッゴなパワーがぶつかりあうせつな! 突然、2人の脳裏に同じ思いが湧いた。

 「「この2つの力を、地獄騎士に向けるんだ!」」

 僕とペンさまがわかりあった、歴史的瞬間である。
 くるっと僕らは肩を寄せ、地獄騎士に突進する!!

 「愛の一撃を食らえぇえええっ!!」
 最高の笑みで、横にいるペンさまにウインクを贈ろうとしたら……、そこにペンさまの姿はなかった。

 「ももも、もしかして、毎度おなじみ、ワイの健全なる性少年的な妄想でしたかぁああっ!!」
 ワイは騙されて、ただお一人で地獄騎士さまに向けて、かかんに挑んでいたのである……! 何たるものスッゴな悲劇!!

 「いい度胸だ」
 うなる大剣。一瞬後にも、ワイの身体は愛らしさ抜群のティンティンごと、両断されてしまいかねない……。

 ●

 ドガッ!

 「うおおっ!」
 何かが起こり、地獄騎士がよろめく。

 「ハプショーーーッ!」
 命がけの瞬間ですから、どんな奇声が出ても不思議ではない。ワイは地獄騎士の剣を逃れ、馬の足元をすり抜け、地べたに転がり込み、そのまま高速前転で地の果てまで逃げ切る!

 「やったぞ! ワイは逃げ切ったぞ!!」

 しかし、辺りには人影はなく、そこは暗い川のほとりだった。
 まさか、ここはかの有名な三途(さんず)の……あうあう。ひえ〜!

 顔を洗ったり湯のみを洗ったりした後、ニンニン忍び足で三途の川から舞い戻ったワイ。危ない所でした。ぷひ〜。


 「いいかげんケリをつけてやる」
 大魔王氏が両腕を突き出す。おぉ。絶体絶命のワイの危機を救ったのはコヤツか。ワイは人知れず、白タイツをはき、ツルのポーズでしなやかにおじぎをかました。
 地獄騎士は馬に乗る。その全体が炎に包まれる。
 あの馬は……ほどよく焼けたら、どうにもこうにも美味そうな予感……。ごくっ。

 「ブヒヒヒィイイン!」
 と、馬は殺気を感じたようで鋭く鳴いた。可愛いもんじゃて。ヒヒヒィ。

 「大魔王、もうアンタの出る幕は終わりだよ! アタシがやるの! アタシが、アイツのカタキなんだからさぁ」
 とアンジェさまがずいと前に出る。
 「出しゃばんじゃねぇ! すっこんでろ!!」
 とまぁ、大魔王氏も負けておりません。

 全くして、ゆうがなゆずりあい、という精神に欠けたお方達のようで。
 会社のために、と給料とボーナス全てを会社にたたき返すほどの、ワイのパパ上の極上の漢・精神を見習うがいいぞ!! 

 かく言うワイだって、もらったお年玉をぜぇんぶ、街頭の募金箱に突っ込んだ時もありましたから!
 ……えぇ、その数秒後には我に返って号泣したのも、今となっては良き思い出……。

 しかもその募金が「恵まれない僕に愛の手を」とかいう、新手のサギだったのに気づいた時の絶望感と来たら……。
 ソッコウでいなくなってましたからねぇ……。

 ●

 ワイの青春の苦悩をよそに、まだアンジェさまと大魔王氏はモメてる模様。

 「じゃあ、アンタが死んだら、次はアタシの番だからね」
 「死なねえってんだよ!!」
 大魔王氏はアンジェさまを後ろに追いやり、また前に出る。

 あ、あの野郎!! どさくさにまぎれて、アンジェさまのふくよかなお胸を触ったんじゃないのかぁああっ!!

 「コラー!! 先生にも同じいい思いをさせろぉおおっ!!」
 そうしてスライディングタックルで両者の元に突っ込んだタクロウ先生。
 「あぷあぷっ!」
 しかし、自らが起こした砂嵐にのまれ、先生は視界を失ってしまった!
 「しまった、ここはどこだぁあああっ!」

 先生が目を開けてみると、そこはやたら暗く、そして目の前には川が流れていて……。
 先生は腰を抜かしながらもコサックダンスぎみの鋭いステップで、そこからずんだ、と逃げ出したのであったとな。


 「え〜と……。どうでもいいからよ! 地獄騎士、ぶつかって来い! 俺らがただのハンパものじゃねぇ事を見せてやるからよ」
 大魔王氏はやけに自信ありげだ。
 「本気か。じゃあ遠慮なく行かせてもらう」

 地獄騎士は後ろに大きく下がる。そして助走をつけて、大魔王氏に向けて突進した!
 やっと話が進展したようで、ワイもふんばった甲斐(かい)があったというものじゃて。

 「大魔王ッ!!」
 ペンちゃんが叫ぶ。
 「ペンちゃん!!」
 ワイも叫んでみて、ワケわからない事に。やっほう!

 大魔王氏はよけない。真正面から騎士の突撃を受けるつもりなのか……?!

 ガシィイイイッ!

 両者がぶつかりあう。
 大魔王氏は、馬の前半身をその身でがっしりと受け止めていた。

 「マジすか……」

 炎は容赦なく燃えている。
 しかし、大魔王氏はフテキに笑うだけだった。

 ●

 「ただの人間ならな、ハナから、お前ら悪魔と戦おうと思ったりしねえんだよ」
 大魔王氏は馬をきつく抱き締める。
 馬は嫌がって身もだえするが、大魔王氏はかなりしつこいらしく、絶対に離さない。

 うぅ。僕も見習うべきか。
 「ペンさまや!!」
 そうして抱きつこうとした瞬間、ペンさまは何故かVサインをして来た。
 「それって……超・意味不明なんですけど」
 「お前の両目を突く」

 そんなペンさまのお怒りに触れ、ワイはもうおそろしゅうておそろしゅうて、何かをもっちゃりともらしそうになってあわてふためいて、水たまりにハマッて濡れたくつ下を寂しげに脱いで、なおおろおろしているところで、も〜うすっごくやり切れなくなって、ワイは静かに正座して、おじぎして、お茶漬けを一杯食べた後、瞑想(めいそう)に入って、ぶっとやった後、下脱した。む〜ん。

 大魔王氏は未だ、馬とハグはぐ中。
 「俺らがただの人間なら、地獄に行って暴れたりもしてねぇよ。大体な、お前ら悪魔どもを、今までどれだけぶっ殺して来たと思ってんだ? もう数え切れねぇほどだぞ?」

 「お前がな何百年戦って来た地獄騎士だろうが、その炎が熱かろうが何だろうが……!」
 大魔王氏は馬をやる気だ! その首がおかしな具合にねじれている!

 ボギィイイッ!

 「……こうやって、力づくで倒すだけなんだよ!」
 そうして勢いづいた大魔王氏。今度は騎士につかみかかる!

 「ウォオオオオオッ!!」
 互いが炎に包まれて、もはや何にも見えない!

 「いいかげん、熱いんだよ、この野郎!!」
 と大魔王氏。やっぱ熱いんだ……。
 そうして地獄騎士の首を、両腕でガッチリとつかむ。あぁ、いわゆるヘッドロックですな!

 「じゃあな、地獄騎士! お前のカタキを討ってくれる仲間がいるんだったら……、会うのを楽しみにしとくぜ」

 「ウガァアアアアアアッ!」
 地獄騎士の絶叫。
 そうして、地獄騎士の兜(かぶと)がおかしな具合にねじれて折れた。
 地獄騎士が崩れ落ちる。チカラないガラクタのようになり、馬の死骸(しがい)の上に折り重なった。

 「終了だ」
 大魔王氏も黒こげに近い状態になって、そのまま後ろに倒れた。

 ●

 僕さまの胸がピコーンと高鳴る。
 しまった。このデカブツこそ、実は真の漢なのではなかろうか……?
 この勇者っぷりに、ワイはホレてまいそうやがな……。

 「……コゾウ」
 大魔王氏がワイを呼ぶ。
 「はいな!」
 ワイはスチャッとおそばに正座をかます。そこにいたアンジェさまが跳ね飛ぶ。えぇ、そういうキャラだった模様で。おほほ。

 「……何か気味悪いくらい素直だな。まぁ何でもいい。ノド乾いたからよ、ピーチネクター、買ってこい」
 「ピ、ぴ、ピーチネクターとなぁあああっ?!」

 ……漢の飲み物じゃねぇでしょ、それはぁ……。
 大体にして、略したらビーチクになりそうなヤなネーミング……。

 「買って来い!!」
 「アイアイアイーーーッ!」

 ワイはピーチネクターを買いに、校舎を飛び出た。

 校門ならぬ肛門でもなく、黄門?を抜けた後、ワイの記憶は弾け飛ぶ。

 「……おかしい。急にピーチネクターがむしょうに飲みたくなってしまった!!」
 こんな不可解な日は、全くして初めてである。

 ●

 その辺をうろうろしている少年がいた。

 「あ、シンイリさん。お疲れっス。ちゃーす!」
 「誰です、その異常なまでに親密なアナタさまは?」
 「あ、お忘れですか? アナタのよしおくんです!」

 「よしおくん!!」
 あ〜、そんな人、いたねぇ……。

 「ちんちん、使ってくれました?」
 「は?」
 僕はドキッとする。お尻を確認するが……まだ無事なようだ。
 「だからぁ、語尾にちんちんってつけてしゃべるんです。これって絶対、流行りますよ!ちんちん!」

 「ちんちん……スか」
 う〜む。よしおくんのテンション、なかなか学ぶべきところが多いかもしれない。

 てかもし、女子高生が語尾に「ちんちん」つけてしゃべりまくったらワイはもう……興奮しすぎて爆発してしまうかもしれない。
 はじらう女子高生もいいんですがぁ、はじらわない女子高生にこちらがはじらう、というのもまたツウ好み?なんですよ、はぁい……。

 「了解した! ところでさ、ノド乾いちゃって。ピーチネクター、買ってきてくれるちんちん?」
 早速よしおくんのリクエストにお応えするワイ。
 「ビーチクター……?? ん〜と、わかったちんちん! そうそう、あれってのどごしの裏ごしがまた、たまらないんだよね、ちんちん!」
 よしおくんも嬉しそう。ちんちん、よっぽど好きなんだな……。
 「……うん。そうかもね……ちんちん」

 ピュィーンとすっ飛ぶよしおくん。
 彼はもしや、ちんちん星人だったのかもしれない。


 「さて、帰るか」
 と思ったが、ノーブラならぬ手ブラ……なんだけど、ちょっと違う手ぶら。カバンを忘れた模様。
 肛門をいや肛門、違う。肛門に入った途端、記憶があざやかに蘇る。

 「大魔王氏にピーチネクター頼まれてたんだった……」

 その場でヒンズースクワットをしながら待っていても、よしおくんは一向に来ない。このままでは下半身が筋肉モリモリになってしまう!
 「仕方ない……」
 ワイは股間からヤクノレトを取り出し、マジックで「ピーチネクター」と書いた。

 「アラ不思議?! これはまぎれもなくピーチネクターでござ〜い! ささ、どぅ〜ぞ! ぐいっと!」
 とか言っても飲まねぇだろうな、大魔王氏……。

 ●

 「アラ不思議?! これはまぎれもなくピーチネクターでござ〜い! ささ、どぅ〜ぞ! ぐいっと!」

 ワイはとろけそうな笑顔を引きつらせながら、湯のみに注いだヤクノレトを大魔王氏に差し出す。
 「何で湯のみなんだ……?」
 「ささ、どぅぉぉおおぞっ! ぐびぃいっっとぉ!」

 ぐび。

 「ブホォオオオッ!! バカ野郎!! これ、ヤクルトじゃねぇか!! 俺はヤクルト嫌いなんだよ、飲ませんな!!」
 「聞き捨てならん! これは、ヤクルトではありませぬぞ! 類似商品、ヤクノレトでござ〜い! ……ところで、うまい棒の人はドラPもんの作者に、著作権をあのその……」
 ヤバイ話題をつい!

 「ほら。ピーチネクター」
 そこでアンジェさまが大魔王氏の鼻先に、キンキンに冷えてそうなピーチネクターを差し出す。
 カコッとフタまで開けちゃったりして、何だかいやらしいフンイキ!!

 「いけません! 全くしてイケなチックでイケませんぞな! そのアンジェさまの素晴らしき青春のご好意は、とっくりたっぷりとぉ、全てこの私めのためだけにあるのじゃあああっ!!」
 ワイは大魔王氏の鼻先のピーチネクターの缶をぶん取り、漢のイッキ飲み!!

 「グボォオオオオオオオオオオッ!!」

 何と、中身は……おしるこではないか……。しかももちが入っていないから、ただのあんこ湯……。

 「ヒィイイイイイッ!! 天駆ける甘党の私めでも、これはさすがに、甘すぎて氏ぬ思いでありますのじゃ……」
 アンジェさまの青春のお味は、かくも甘々すぎだという事なのか……。実においしい娘よ……。

 ●

 「おい。変なもの飲ませて、俺を殺そうとしやがったのか、アンジェ?」
 大魔王氏がアンジェさまをニラむ。
 「だってぇ。アタシの出番、アンタが根こそぎ奪っちゃったからでしょ〜?」
 「出番もクソもあるか! あの地獄騎士ってのは、俺が殺りたかったんだよ」

 ――俺がヤリたかった。
 と、大魔王氏のさぶ発言に、ワイはひざをガクガクと震わせる!

 「ほぉら。ケンカしないで。早いトコ、地獄騎士の死体、地獄に送り返しちゃおうよ?」
 とペンさま。

 ふわ。

 そこでひとひらの風が吹く。
 「うぉおおおおっ!!」
 パンチラならぬ、ももチラ!! ワイは、ペンさまのおももを、パンツ寸前まで見てしまいまったぞぉおおおおっ!!

 「……見たの? パンツ。この変態」
 ペンさまはワイをにらむ。
 「違うぞな! パンチラよりもツウ好みといわれる、お前さまのももチラをとくとたっぷりとぉ、味わわせていただきまったぞぞおおおおおっ!! きゃほぉおお!!」

 ワイは嬉しさのあまり、跳ね飛んで、弾けて、お空で茶をいただいた後、するすると木の葉と共に地上に舞い降りてきて、おごそかに正座した後、ぷひっとはしたなさをやっちゃって、3回転ほど前転して、カニ歩きして、直立して、高速回転して、地面にもぐりこんだ。

 「とりあえず、カタはついたなぁ」
 白目部長のお言葉。
 「でも最近タダ働きが多いからな。事情を説明して、校長からしっかり金もらっとかなくちゃな」
 ひえ〜白目部長さまはやはり、しっかりしたお方なのでありますじゃ。

 「じゃあ、色々と後始末だ。シンイリ、お前も手伝え」
 ずぼ、と地面から引き抜かれる。
 「イエス・サー!」

 ●

 大魔王氏は地獄騎士と馬を引きずって、校舎の方へ向かう。
 「その馬、食えるかなぁ?」
 アンジェさまはとことこ後をついていく。
 「馬肉は焼いて食っても美味くねぇんじゃねぇのか? あんまり聞いた事ねぇからな」
 「じゃあ、おさしみ?」
 とまぁ、お二人はあの馬を食うつもりのようである。真・恐ろしい方たちである……。

 「ペンさまや!」
 ワイはここぞとばかりに叫ぶ。
 「何なのよ、変態……?」
 イヤっそうに返事をしてくるペンさま。

 「お願いがございます! 読者の方からの、切実なるお言葉であります! ぜがひでも、その夢を叶えてあげて下されよ!!」
 「読者……?」

 「はい! ペンさまに「ちんちん」と、語尾につけてしゃべって欲しいのであります!! たったそれだけ! それだけで、世界は救われるのであります!!」
 「知らないわよ、馬鹿!!」

 バシィイイイイッ!
 ペンさまの猛烈なるビンタ。

 ワイは嬉しすぎて、ほっこりとほほ笑んで、いつまでも首を揺らし続けた。

 「ししししまった! ペンさまも白目部長もいない!!」

 ワイはおいてけぼりを食らったようである。キャイーン!

 ●

 あれ。ギャラリーがまだいくらかその辺でたむろってますね。
 そこで駆け寄って来る女の子がいた。
 「シンイリさぁん、サイン下さい〜」

 え〜〜〜っ?!

 マジすか。やっぱり世の中、広いでおますなぁ……。
 「よかろうよ! じゃあお礼にお前さまのくつ下をくれ!!」
 漢らしく、ハッキリと告げる。

 バシ。

 あぁ。女の子はぷんすかPとして、逃げていってしまったではないか。
 くつ下くらい、喜んでくれてもいいのに……。てか、それぐらいじゃないとワイの妻は勤まらんぞ!! おほーん!
 

 まだワイの漢の夢は、果てしなく、遠いものであるらしい。
 漢として、ワイはまた今日も、一皮むけたようである。
 早速、確認してみる……ごくっ。

 「あぁっ! こんな事をしてはいられん! 今頃部室では、「馬さしパーティ」が行われているに違いない!!」
 ワイはピュイーンと部室に向けてひた走る。

 そして回転しながら部室に戻ってみると……
 そこにはピーチネクターの山!!

 「どうぞ、シンイリさんも、ぐびっっと!」

 みなに囲まれた中にいたのは……、よしおくん。
 一体、いつどこから現れたというのか……。まったくして、あなどれない少年である。
 今、部室ではピーチネクター祭りが開催(かいさい)されていた。

 「うめえ!!」
 大魔王氏もご満悦(まんえつ)。
 辺りは甘い桃の香りにもっちりと包まれ、春の訪れが間近に感じられた、昼下がりであった……。



 <完>




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